「と、斗真さん、何を?」
「俺はね、姫香。こうして跪き、爪先にキスをしたいくらい姫香に忠誠を誓えるよ」
「爪先に!? キス!?」
ふぅ、と斗真さんの息遣いが掛かるので、バタつかせて抵抗を試みる。しかし椅子からずり落ちる結果となり、勢いよく彼の腕の中へ滑り込む。
「やっぱり悪い魔法使いは俺か? 爪先にキスもいいけど、最初はここにしたい。姫香の事は絶対に守るからーーいい?」
熱を帯びたおねだりを浴び、親指の腹で唇をなぞられる。床に座った状態で抱き締められたら緊張がより伝わりそう。斗真さんの鼓動も身近に感じた。
忠誠を誓われるなんて物語のお姫様みたい。斗真さんに全身全霊をかけ守ると告げられ、心が揺れないはずがない。
「でも、私はーー」
尚更キスを贈られる資格などないと顔を背けた。
「断わっておくが、浅田から姫香を奪い返したところで何の問題もない。俺の立場を案じなくてもいい。そもそも俺が先に姫香にプロポーズしたんだ。それを浅田に分からせてならないと」
もしも強引にキスを仕掛けられれば、応じてしまったかもしれない。私から斗真さんへの想いは漏れていて、もう隠せるレベルじゃないだろう。
「俺はね、姫香。こうして跪き、爪先にキスをしたいくらい姫香に忠誠を誓えるよ」
「爪先に!? キス!?」
ふぅ、と斗真さんの息遣いが掛かるので、バタつかせて抵抗を試みる。しかし椅子からずり落ちる結果となり、勢いよく彼の腕の中へ滑り込む。
「やっぱり悪い魔法使いは俺か? 爪先にキスもいいけど、最初はここにしたい。姫香の事は絶対に守るからーーいい?」
熱を帯びたおねだりを浴び、親指の腹で唇をなぞられる。床に座った状態で抱き締められたら緊張がより伝わりそう。斗真さんの鼓動も身近に感じた。
忠誠を誓われるなんて物語のお姫様みたい。斗真さんに全身全霊をかけ守ると告げられ、心が揺れないはずがない。
「でも、私はーー」
尚更キスを贈られる資格などないと顔を背けた。
「断わっておくが、浅田から姫香を奪い返したところで何の問題もない。俺の立場を案じなくてもいい。そもそも俺が先に姫香にプロポーズしたんだ。それを浅田に分からせてならないと」
もしも強引にキスを仕掛けられれば、応じてしまったかもしれない。私から斗真さんへの想いは漏れていて、もう隠せるレベルじゃないだろう。

