『なんでも、無法地帯を支配する男の住処はセキュリティも万全で、誰も手出しができないらしいよ。だから男の素性がわからないんだって! 謎多きイケメンって最高じゃない?」
その時はユキの話に呆れていたけれど、もしかして本当に……?
この車だって高級車なわけだし、色々と期待してしまう。
つまりこの男が無法地帯のトップ……トップなの⁉︎
「あの、あなたって……」
「朔夜だ」
「……え」
「俺の名前」
「あ、はい……えっと、朔夜さんってここのトップの人なんですか?」
無法地帯と言っても、統率する人がいなければ、その区域外……つまり私やユキたちが住んでいる場所も被害が出たっておかしくない。
けれど外部の被害はほとんど確認されず、また目立ったトラブルもないため、警察も下手に動けないらしい。
そのため無法地帯を統率する人間がいるとは言われているが、素性不明。
どこまでが本当かわからないけれど、そんな噂の人物がいま私の目の前に……⁉︎
「それはカンナ、お前の目で確かめればいい」
ふっと色っぽく微笑まれ、胸が高鳴ってしまう。
これは心臓に悪すぎる……!



