翌朝。
 私はいつもより早く目が覚めた。

 いつも先に起きていた朔夜さんは、今日はまだ眠っていて、彼の綺麗な寝顔はずっと見ていられそうだ。

 普段は私と一歳差とは思えない大人の男性らしく、危険な色気も漂わせているけれど、寝ている姿は年相応で、少し幼さすらも感じられた。

「……ふふ、かわいい」

 思わず頬をつんつんしたくなったけれど、起こしたら悪いなと我慢する。

「そうだ」

 いつも朔夜さんが色々してくれているから、今日は私が全部しよう。
 まずはキッチンを借りて朝ごはんの準備から始めた。

 普段から料理をよくするため、得意な方だ。
 せっかくだから朔夜さんに喜んで欲しいなと思い、手の込んだものを作っていると……ガタッと、近くで大きな物音がして顔をあげる。

 そこには服や髪が寝起きで乱れたまま、焦ったように私を見つめる朔夜さんの姿があった。

 貴重な寝起きの朔夜さん……!
 完璧なイメージが強かったため、少し乱れている姿は新鮮で、思わずキュンとしてしまう。