恋愛電車

(よし、今度こそ。今度こそ、メガネ、言うんだ、)

私はその日も、浮かれながら電車に乗った。

(いつもは出入口のこの辺りに座ってるのに、)

スバルの姿がなかった。
彼は、少なくとも私と出会ってからの間は1度も居なかったことはなかった。
体調でも崩したのだろうか。

私は心配で、彼にメールを打とうとアプリを開いた。

(ない、ない、スバル君のアカウント、どこにもない)

彼のアカウントはどこにもなく、

「件目はありません」

という表示だけがホームに記されていた。

(どうして、なんで急に)


ドクドクと、身体中に血液の廻る音がした。
私だけが暗黒世界の中に取り残されたような孤独感に苛まれた。