「え!ほんとに!?」

翌日の朝、早速ユナに昨日の出来事を話した。ユナは大興奮で、またもや机をバンバンと叩いていた。

「それで!?連絡先は?!」

「ないよ。」

「はぁー?」

ユナは一気に落ち込んだようで、今度は机にだらりともたれかかった。

「スバルさんか、珍しい名前だね。かっこいい。しかも社交的だったんでしょ?ヤバいね。」

「ユナ、語彙力皆無になってる。」

「だって〜!こんなに冷静なマフユの方がすごいと思うよ。」

私は、外ではあまり感情を表にしていなかった。いくらそれが親友だとしても、やはり感情を出すことに多少の壁を感じていた。

こんなにポーカーフェイスな私でも、昨日は帰ったあと1人で興奮してベッドの上で踊っていたことは、これからも誰にも知られないだろう。そして、それのせいでベッドの金具が1つ取れてしまったことも。

「今日はスバルさんには会わなかったの?」

「……今日は、電車一本逃しただけだったけどあえなかっ」

「何してんの?好きな人に会いたいならいつも通りの電車に乗れるようにしなよ」

ユナの言っていることはごもっともだった。

実は私は今日も遅刻ギリギリだった。

もはや遅刻の回数の方が多いため、普段乗っている時間帯の電車の存在が薄くなりつつあった。

「うん。気をつける」