「え?附属久遠高校?かの有名な?あの、偏差値73超えの超天才達が通うあの学校?」

私は放課後、家のベッドで寝転がりながら、あの人の制服から学校の特定をしていた。

今朝見た制服と合致した高校は、久遠町駅のすぐ目の前にある、超名門校の附属久遠高校だった。

略して附久高と呼ばれているその高校は、偏差値が73を超えており、1番偏差値が低い科でも、偏差値が69もあった。

「嘘でしょ…あの人、頭いいんだ、」

私は絶望した。
こんなに馬鹿な私と、偏差値が人外レベルの人が釣り合うはずもない。

「ていうか、そもそも話したこともないし」

私はいつも、難しい恋をしてしまう。
以前好きだった男の人は塾の先生で、その前は有名ハンバーガー店マクドナルゴの爽やかな店員さんだった。

「理想が高いんだよな。ハードル下げないと。」

正直、自分の容姿は好きではなかった。
私自身、周りの目を気にしてしまい、本当に好きなメイクやファッションを楽しめていない。

_今通りすがったJK軍団に絶対ダサって思われたよな。

_今通った可愛い人、きっと私の事見下してるんだろうな。

_今通ったかっこいい人、絶対タイプじゃないとか思われてるだろうな


などと言った被害妄想を、毎日のようにしていた。

仲いい友達やクラスの男子たち、親友のユナの目でさえ気になってしまうほどに、周囲からの視線が怖かった。

「明日、何しよう、」

「マフユ、お風呂入りなさい。」

リビングから母親の声がした。
私は返事をして階段を駆け下りた。