「保健の先生、いないね。」

「ほんとだ。」

「紗奈、そこ座って。」

未那はゴソゴソとなんか探してる。包帯らしきものをとった後、私に言った。

「で、詳しく聞かせて?」

私はあったことをそのまま未那に話した。

キーンコーンカーンコーン

授業、本当にサボっちゃった。

「どう?足。」

「うん、だいぶ楽になったよ。ありがとう。」

「よかったぁ。この事、二葉先輩に言いなよ?」

正直、どうしようかと思っていた。前の私だったら、今すぐにでも言っていたであろう。

でも、香菜先輩が二葉くんと幼なじみだってこと、突き飛ばされた件で二葉くんに言っても信じてくれなかったこと。色々あって、言う気にはなれなかった。

「…もしかして、言わないつもりなの?」

「ギクっ」

「なんなの?しっかりしてよ~!!」

「いや、えっと…」

「まあ、言わないならそれでいいけど、またあの香菜ってやつに何かされたら私に言ってよ!!」

「絶対、約束だからね!」と、眉間にシワを寄せて言う未那。

私のためにはっきり言ってくれて、怒ってくれて。本当に優しいな。

「うん、ありがとう。」