クリスマスまでに君を

言うのよ愛冬。

”大森さんのところ行っていいよ”って。

頑張れ。


「み、深冬くん。大森さんのところ行っておいでよ。」

「は?」


い、言えた。

あとは笑顔で背中を押すの。


「私、ちょっとずつ良くなってきたんだ。
だから大森さんのとこ「行っていいって。それ本気で言ってんのか?」


何でか険しい顔で言ってくる。

行かないでほしいよ。
私のそばにいてほしいよ。
でも……


「うん!ほらっ、大森さんも風邪で休みって聞いたよ?」
 
「へえ。」


深冬くんがそう呟いた瞬間、私の視線がぐるんっと回転して、背中には柔らかな感触が。


押し倒されてる?

何で?なんでそんな顔をするの?


「愛冬は俺を好きだって言ってなかったけ?
あぁ、それかもう好きでも何でもないから他の女のとこ行けって言うのか。」

「っ!ちがっ!」


好きだよ。
ずっと好きだよ。

怒った顔の深冬くんを見て、溜め込んだ思いが溢れてしまった。


「好きだよ!好きに決まってる!誰よりも好き。
会った時から深冬くんのことしか見えてない。
でも。深冬くんは大森さんのことが好きでしょ!
だから私のところじゃなくて大森さんのそばで幸せになってほしかったの!
好きだから。愛してるからっ!」


あぁ、言っちゃった。


振られる。「俺は花のことが好きだから」って言われるんだ。