クリスマスまでに君を

ピンポーン


ん……。


チャイムの音で、目が覚めたのは四時だった。


誰だろ?
重たい体をあげて、玄関に向かった。


「は~い。」


玄関を開けると、そこにはいるはずのない人が。


「なんで……。」


深冬くんが寒そうに首を縮めて立っていた。


「見舞いに来たんだけど。」


えっ?

なんて?見舞い?

えぇ?えっ?


色々聞きたいところだけど、さすがに寒すぎる外に立ちっぱなしにさせておくことは出来なくて。


「ど、どうぞーーーっわぁ!」


スリッパを出そうとしたら急にフラッっときて倒れそうになる。


けど、すんでのところで深冬くんが支えてくれて。


「あ、ありがとう。」

「熱あるんだから、気遣わなくていいって。」

「えっ?ちょ……わぁ!」


グルンっとお姫様抱っこされて私の部屋まで連れていかれた。


「ぶはっ、顔真っ赤。」

真っ赤な私を見て笑う。


だって……、お姫様抱っことか生まれて初めてされたし!ましてや好きな人に!


「ううっ~~、見ないで。
ていうかお見舞いに来てくれたの?」


大森さんは?
大森さんのところにいなくていいの?


「あぁ、花はいいんだよ。
母親が面倒見てくれてるから。お前は家に一人だって、大倉さんが。」


あぁ、沙里か。

それで来てくれたの?


やばいっ、うれしいっ!

ずっと暗い気持ちだったのが久しぶりに晴れた気がするよ!


「ありがとっ!」

「……っ、ゼリー買ってきたから、スプーンあるか?」

 
んっ?なんか顔赤くない?

「ありがとう。スプーン多分お母さんがキッチンの台所に置いてあると思う。
取ってくるね?」


そう言って立ち上がろうとしたけど、俺が行くからって部屋から出て行った。