「よしっ!髪型オッケー。メイクオッケー。
服装オッケー。
出発っー!!!
いってきまーす!」

「あら、デート?」

「そうそう!デート!」

「愛冬もとうとうデートかぁ。
楽しんできてね!
なんなら帰りは明日になってもいいわよん。」

「お、お母さん。何をいうのでこざるか!
もうっ〜!いってくるぅ!」



お茶目で元気なお母さんに送り出されて家を出た。


今日は動物園に行く予定。


楽しみすぎて早歩きになってしまったせいか
20分前に着いてしまった。


楽しみだなぁ。

一緒にキリンに餌やったりして!?

一緒に思い出の写真撮ったり!?

もしやもしや、手繋いじゃったり!?


「ねぇねぇ、1人?」

キャァーーーーー!!

ドキドキするぅ!妄想だけでご飯何倍もいける!


「ねぇ!俺達とイイコトしようよ!
君チョーかわいいし!」


あぁ、楽しみ!早く来ないかなぁ。

「ねぇ!」


ていうか無視してたけど、なんか男の人私に言ってる!?


「ごめんなさい。何のようでございましょうか?」

「だから一緒に来ないかって!」

「ごめんなさい。人待ってるんで、無理です。」

「そんなこと言わずにさぁ、行こうよ。」


ニヤニヤ笑って手を掴んできた。

気持ち悪っ!

深冬くんを待ってるのにぃ!


「や、やめてください!!人待ってるんです。」




「ほんとーですよ。おにーさん。 
その子僕と約束あるんで、離してもらえます?」


おっと!深冬くんナイスタイミングー!


「深冬くん来たんで離してもらえます?」

「えー。やだなあ。君かわいいし?
ねー、こんな奴より俺の方が楽しませてあげられるよ?」


やだってあなた子供か!

ていうかしれっと太もも撫でないで!?キモいから!


「…………もう一回いうぞ?
その汚い手離せ。
誰のものに手ェ出してんのかわかってんの。おっさん。」

「ヒィ!」


ヒィ!
私までおにいさんと一緒に叫びそうになったよ!


黒いオーラ。とてつもなく怖いです。


でもそのおかげでおにいさんは逃げていった。


「深冬くんありがとう!かっこよかった!」


まぁこんなかっこいい深冬くんの姿見れたし、あの人には感謝してやらんこともない!



「ごめん、遅れて。行こ。」

「大丈夫ー!
ねぇ、深冬くん。」

「ん。」


「ちょーーーーう。かっこいいね。」

「どーも。」


褒めたら深冬くんちょっと赤くなった!?


「ねぇ、深冬くん!赤くなってる!超可愛いんだけど写真いい!?」


「あ゛?
そんなことしたらどうなるかわかってるよな、愛冬ちゃん?」

「は、はい!調子に乗りました!
すみません!」


笑顔黒いって!



話しながら動物園へ向かう。


「ねぇ、深冬くん!
今日はそんな感じでいくの?」

「そんな感じって?」


うーん。上手く言えないけど。



「みんなの前では見ない深冬くん!
なんかみんなの前では優しい王子様みたいな感じだけど、今は口調変わるし表情変わるし!」

「あぁ、まあこっちの方が楽だから。」


へぇー!


「どっちが本当の深冬くん?」

「さぁ?まぁ、こっちの方が楽だけど。」


うふふっ!

私だけが知ってる深冬くん。



そんな話をしてるとあっという間に動物園。