「はぁー。どうしよう。全然分かんない。
沙里ぃぃ〜。」

「うん。ごめんけど、私には手が負えないわ。」



放課後、沙里に勉強教えてもらうことにしたけど、わずか5分で沙里さんお手上げ。


「そんなぁ。沙里ぃ。見捨てないでよぉ。
テストだなんて!
私こんなことしてる暇があったら深冬くんと一緒にいたいのに!」


深冬と会いたい!今すぐ話したい!

深冬くんに好きって言いたい〜〜。


アプローチして、深冬くんの心をゲットしたいのに!愛冬はこんなことしてる場合じゃないのよっ!


「うぁぁぁぁーん。」


「おー。
やっぱり行き詰まってるよな。当たり前か。」


そう言って教室に入ってきたのは担任の藤宮先生。通称ふじちゃん先生だ。(勝手に呼んでる)


「そうだよな。そうだよな。
お前が行き詰まってないわけないよな。
そんな可哀想な羽白に残念なお知らせだ。」

「なに?ふじちゃん先生!もう私に地獄を見せないで!!!もう十分だ「次全部赤点になったら進級危ういぞ。」


ゴーン



頭の中に勝敗のゴンクの音が鳴り響く。



この前のテストで全教科赤点だった私にとって進学出来ぬ選択肢も大きい………。


「…………ふじちゃん先生。勉強教えて。」

「うーん。そうしたいのは山々なんだがな、
俺明後日から出張。」


もうっっっ!

どうすればいいの!


「羽白の場合は飲み込みは速いから苦手意識があるのとやる気の問題を解決したら50点以上はいけると思うんだよなぁ。
やる気が出る方法ないのか?」


ボンっと。


脳裏に1人の愛しい存在が浮かび上がる。 


「深冬くん!!深冬くんに教えてもらったら私、羽白愛冬!やる気マックスに変身します!」

「深冬くん?……あぁ、清葉か。」


ふじちゃん先生は納得したように頷いた。


「それでやる気が出るなら頼んでみようか。」

「はい!
先生深冬くんに頼んでください!
私じゃ多分断られますからっ。」

「分かった。じゃあ頼んでみる。」


しゃゃゃぁーーー!


これで私は進学できる!!

大好きな深冬くんと勉強なんて地獄じゃなくて天国だもん!


頑張るぞぉぉぉぉー!