「あぁ、そうだ。CAカレンダーって知ってるか?」

「知ってる。本社に毎年送られてきてるから」

「今度のカレンダー、環奈さん載るぞ」

「え⁉︎」

「美紗都の話によれば、そのカレンダー、ファンが多くて、結構な部数を売り上げるらしいんだが、環奈さんがモデルの一人だってわかってから、予約部数が跳ね上がったんだと。どんだけ美人なんだよ、お前の想い人は?」

「見たことないのか?」

「ない。美紗都が見せてくれない。気持ちが環奈さんに移るんじゃないかって不安なんだそうだ。なんて可愛いんだろうか、俺の婚約者は」

「はいはい」

「でもな、昨日、紹介したいって言われたんだよ」

「環奈に?」

「そう」

「環奈さんには、ちゃんと会って紹介したいんだと」

「そうなんだ……美紗都さんは俺たちのこと知ってるのか?」

「熊野御堂が大口の顧客だってことは知ってる」

「美紗都さん、真実を知ったらどう思うだろうか。桐山、大丈夫なのか?」

「美紗都には時が来たら話すつもりでいる。彼女も環奈さんのことが大好きだ。だから、お前と同じように、環奈さんには幸せになってもらいたいって思ってる。俺はその手伝いをしているんだ。美紗都は俺を信じてる。俺も美紗都を信じてる。それが全てさ。ってか、人の心配してる場合か? 」

「そうだった」