「紹介したい人がいるの」

「…… え? 今なんと?」

「紹介したい人がいる。大切な人」

「そ、そうなの⁉︎ 」

「環奈は? ほら、メガバンク勤務のイケメン、いい感じだと思ったんだけど」

「うっ……」

「またダメだったの⁉︎ 」

私は小さく頷いた。

「つくづく思うの。私って男性運ないんだって」

「右に同じ」

「美紗都、正直すぎでしょ」

「だって、そうとしか思えないじゃない。環奈は私の自慢の親友よ。美人で、頭が良くて、優しくて、カレンダーのモデルに選ばれるくらい冗談抜きで素敵な女性なのに、何故、付き合うまでに至らないのか。もうこれは男運がないどころか、呪われている域だと思うのよ」

「え…… 」

「仕方ないわね。現地着いたら美味しいもの食べに行きましょう。また新しいお店見つけておいたから。環奈の好きなローストビーフよ」

「うわぁ、ホント⁉︎ 嬉しい! それにしても、美紗都のリサーチ力には頭が下がります」

えっへん! と胸を張る美紗都が可愛くて、思わず笑みが溢れた。