高校に入学し、私は陸上部ではなく、ESS部(English Speaking Society)に入った。これから目指す職業に英会話は必須だからだ。

自分の将来を考え始めた時、真っ先に浮かんだのが客室乗務員だった。初めて乗った飛行機で出会った彼女を忘れることができず、それは憧れになり、目標となった。

私はCAになる!

そのために、苦手な勉強も頑張った。
絶望的だった学力も、高校受験を迎える頃には第一志望合格A判定まで伸ばしていた。

第一志望の高校に合格し、今度は大学受験がやってきた。CAになるにはどの大学に進学するのがベストなのか、多くのCAを送り出している大学をリサーチした。

結果、選んだ大学は東京にある名門女子大だ。

挨拶は『ごきげんよう』

学力を備えたお嬢様が通うこの大学に進学する。生粋のお嬢様から立ち振る舞いを学びとる。そして、あの女性のようなCAになる!

「お父さん、お母さん、私、この大学に行きたい。私立でお金がかかるけど、行ってもいい?」

「もちろんだ。環奈が進みたい道に進みなさい。お父さんもお母さんも、じいちゃんもばあちゃんも、みんなお前の味方だ」

「頑張りなさい、環奈」

そうして私は今、客室乗務員として世界を飛び回っている。