「ありがとうございました。」
桜がヘルメットを渡そうとしたら、伊勢谷はバイクからは降りずに「バイクの横にフックがあるからかけて。」と言われたので、その通りにした。
「じゃあゆっくり休めよ。あと、ちゃんとリーディングの予習しろよ。月曜日、当てるからな。」
「げっ……」
桜が一歩後ずさると、伊勢谷は「ははっ」と笑いそのまま夜の街灯だけが灯る闇に消えて行った。
「変な先生……。」
本当に親に言いつけたりしないんだ。
桜は家に入ろうと思って、あっ!と思った。
パーカーを返すのを忘れていた。自分にはサイズの大き過ぎる男物のパーカー。
まさか着て帰るわけには行かないと思い、桜はそれを脱いで、小さく折りたたんでこっそり部屋に持ち込んだ。

