「この子は七海って言って、私の娘です。千鶴にとっては姪っ子なの。」
そう桜に解説してくれたのは、伊勢谷に良く似たモデルのような長身の女の人だった。
「あの、すみませんでした!」
桜は穴があったら入りたい気分で、伊勢谷に謝った。
「いいの、いいの。隠し子疑惑の方が面白かったのにね。でもつまらないことに千鶴は私の弟で、旦那じゃないのよ。」
伊勢谷の姉だと名乗るその女の人は、豪快にゲラゲラ笑い、七海と呼ばれた女の子をひょいと両手で抱えあげた。
「じゃあ千鶴、今日は付き合ってくれてありがとう。あんた、その教え子さんをちゃんと送って行ってあげなさいよ。」
「はいはい。七海、またな。」
完全に教師を捨ててプライベートモードの伊勢谷は、七海の頭をわしゃわしゃとなで、二人を改札まで見送った。
また先生のプライベートを見てしまったと桜は思いつつ、ちゃんと黙っておこうと決心はしていた。

