5時間目に机に入れていた桜のスマホが鳴った。
しょっちゅうではないが、友達から連絡が来たりしたら、授業中にスマホを触ることもあった。
[桜ちゃん、お昼すごかったね。うちの学年のイケメン三人に囲まれてさ]
萌からのメッセージだった。驚いたネコのスタンプも押されている。
桜が返信する前に、すぐさまもう一通届いた。
[私たちトイレから戻ってきて、声をかけたかったけど、遠慮しちゃったよー。あの三人と仲がいいの?]
……仲がいいの?
分かんないしと桜は思ったが、それを返信するのは、空気が読めてないような気がした。
宮田くんが一人の自分を心配して、気を使って声をかけてくれているのは分かっている。
ほぼ毎日クラスで楽しい話をして笑っていて、時折悪さをして先生に追いかけられて、お調子者で憎めないキャラの宮田くんだけど、多分人一倍周りをよく見ている人だ。
[中学校のとき、塾で一緒だったの。それで、少し話をしたりするよ。]
桜は事実だけをありのまま返信しておいた。
[そうなんだ。今度、話すこととかあったら、私も混ぜてね。私、宮田くんのことちょっといいなーって思ってるんだ。]
萌の返信に、桜は別に驚くことはなかった。
宮田くんはモテル。上級生とかもよくクラスに訪ねてきている。噂では彼女はいないけど、体の関係もったりしてるっていうのも聞く。
真実かどうかは誰も知らないけど。
でも、宮田くんがそんなのだったら嫌だな……。
ぼんやりそんなことを思い、桜が窓の外を見やると、菫が体育でサッカーをしているところだった。
そう言えば昨日……菫ちゃんは宮田くんとハンバーグを食べたのかな?
結局教えてくれなかった。
宮田くんも菫ちゃんの名前は今日は一切出さなかったし。なんか心に霧がかかっているみたいに、スッキリしない。

