「まぁ、あんたは苺ミルクって顔してるもんな。」
真尋は手にしていたコーヒーを机に置き、頬杖をついて桜を見つめる。
桜は苺ミルクにストローを刺す手を止めた。
「どういうこと?」
ようやく口にできた声も、どこか震えていた。そんな自分が桜は心底嫌だった。
「ピンク色が好きで、キャラクター物とかの可愛い物が好きで、恋愛音楽に簡単に共感して、甘い物を食べていると幸せで、そういう奥行きのない女。」
「ちょっ、真尋!」
言い過ぎと伝えるために、今度は猛が真尋の脇腹のあたりを小突く番だった。
「だから友達にも置いていかれるんだよ。」
コトンと桜の中で何かが外れたような気がした。
そんなこと初対面の人に言われなくたって、薄々気付いていた。

