成海はガサガサと手にしていた半透明のビニール袋をあさり、今日もこの間と同じように苺ミルクを取り出した。
それからパックのコーヒーとミックスオレも取り出し、コーヒーは真尋にミックスオレは猛に投げて渡した。
「今日も苺ミルクの差し入れだよ。」
「そんな……悪いよ。」
桜はまた成海の顔が見れなくなって、下を向いて最後のお弁当のおかず、卵焼きを箸でつかんで、口に放り込んだ。
「いいの、いいの。俺、バイトしてるし。」
成海は桜が気に病まないような軽い口調で言うと、自分のミックスオレにストローをさした。
「てかさ、マジで苺ミルクなんか飲むやついるんだな。」
まるで絶滅危惧種でも見るかのような目で、対角に座る真尋が桜を見つめていた。
三人の中で一番長身で、雰囲気もキツイ感じの真尋に、桜は私の勝手でしょと言いたかったが、怯んで言えるはずがなかった。
「いいじゃん。真尋は自分の価値観で物を見過ぎ。」
猛がフォローするも真尋は首を振った。
「まぁ俺からしたらミックスオレも理解できん。」
「えー?美味しいよ。飲む?」
成海が笑いながら、真尋の口元にストローを突き刺そうとするので、真尋はやめろと言いたげに後ろに仰け反った。

