その日菫が帰ってきたのは午後8時を過ぎたところだった。途中で一緒になったと、母親と一緒だった。


「桜、ごめんねー!」


すっかり片付けられた洗濯物を見て、菫は桜に箱に入ったケーキを手渡した。


「帰りに買ったの。」


桜は白い箱に入ったケーキを見て、あれ?と思った。うちの家とは逆方向のお店だと。


菫ちゃん……どこまでご飯を食べに行ったのだろうか。


友達との定番、ファミレスやファーストフード店なら学校の側の駅に何軒かある。


「菫ちゃん、ご飯何を食べたの?」


桜はケーキを冷蔵庫に入れて、母親のためにシチューの入った鍋をコンロにかけた。


「あー……ハンバーグ。」


一瞬の間。


ハンバーグなら、学校の近くのとこだよね?と桜は聞こうとしてやめた。誰といったの?とも聞きたかったけど、それもやめた。


知ってどうする?


知って自分は満足するのだろうか?