「そりゃ、あれだ。貴博くんは男女の友情は成立しない派なんだろう。だから俺たちを見て付き合っているのではないかと考えた」
自信に満ちた、無駄に張った声がうそぶく。どうやら演技のスイッチが入ったらしい。先輩は何故か私の彼氏面をしてみせる。
「否定したところで君の疑いが消えることはないから、返事はどっちだっていいだろう。むしろ問題は、どうしてわざわざ確認してきたのかってことだ。俺と深雪が付き合ってたら、貴博くんは困るのかい?」
「……別に」
貴博さんは素っ気ない。
私は勇也さんの腕を抜け出し、逃げるように立ち上がった。
「先輩、あまり他人で遊ばないでください。貴博さんも、気にしなくていいから。この人自分の演技力を乱用して時々こういうことするの」
「こういうことって」
続いて貴博さんも立ち上がる。
「いきなり抱き着かれて深雪は平気なのかよ?」
「それは……」
だって勇也さんだし、たぶん貴博さんを煽りたかっただけだろうし。理論派で切り替えがはっきりしている彼を煽ったところで、ほとんど演技には活きないだろうけど。
「ああ、でも私もアドリブは苦手だから」
「は?」
キョトンとする貴博さんを見て、ウチの名バイプレーヤーがまた笑う。
「芝居なら何されても平気だけど、アドリブは対応できないから困るって意味だろ。ホントいい性格してる」
……誰がいい性格をしてるって?
自信に満ちた、無駄に張った声がうそぶく。どうやら演技のスイッチが入ったらしい。先輩は何故か私の彼氏面をしてみせる。
「否定したところで君の疑いが消えることはないから、返事はどっちだっていいだろう。むしろ問題は、どうしてわざわざ確認してきたのかってことだ。俺と深雪が付き合ってたら、貴博くんは困るのかい?」
「……別に」
貴博さんは素っ気ない。
私は勇也さんの腕を抜け出し、逃げるように立ち上がった。
「先輩、あまり他人で遊ばないでください。貴博さんも、気にしなくていいから。この人自分の演技力を乱用して時々こういうことするの」
「こういうことって」
続いて貴博さんも立ち上がる。
「いきなり抱き着かれて深雪は平気なのかよ?」
「それは……」
だって勇也さんだし、たぶん貴博さんを煽りたかっただけだろうし。理論派で切り替えがはっきりしている彼を煽ったところで、ほとんど演技には活きないだろうけど。
「ああ、でも私もアドリブは苦手だから」
「は?」
キョトンとする貴博さんを見て、ウチの名バイプレーヤーがまた笑う。
「芝居なら何されても平気だけど、アドリブは対応できないから困るって意味だろ。ホントいい性格してる」
……誰がいい性格をしてるって?
