「わ、私だって格好いいと思っただけで盗撮なんかしませんよ。でも……イメージにぴったりだったんです」
「イメージ?」
「次回作のヒーローの。私、アマチュア劇団で脚本を書いてまして」
恥を忍んでノートパソコンの中身も開示する。次回公演の企画書と書きかけの脚本を画面に出して、どうだとばかり彼の目の前に突き付けた。
「ヒーローのヒロくんです。今回はちょっと抽象的な脚本で、ヒロインの理想をこれでもかと詰め込んだイケメンということで、単純がすぎるくらいの名前になったんですけど、もちろん大真面目ですよ」
正直、相手にされなくても構わなかった。呆れられた結果無罪放免となるなら万々歳、くらいに思っていたのである。
しかし、彼は思いのほか丁寧に企画書を読み込んでいた。
「この『ヒロ』のイメージが俺に近いってこと?」
「近いというか、ドンピシャです」
だからつい、カメラを構えてしまったのだ。そして稽古場で「こういう感じのイケメンを用意できないか」と相談するつもりだった。
「理想といったって、あんた、俺のこと何も知らないだろ?」
「はい、だから完全にビジュアルの話をしています」
「ビジュアルね」
彼が苦笑する。そりゃ顔だけだと言われたら笑うしかないだろうけど、まんざらでもないように見えるのは私の気のせいだろうか。
「……そう、ドンピシャなんですよ」
「え?」
気付いた時には、私はその案を口走っていた。
「あなた、舞台に立ちませんか?」
「イメージ?」
「次回作のヒーローの。私、アマチュア劇団で脚本を書いてまして」
恥を忍んでノートパソコンの中身も開示する。次回公演の企画書と書きかけの脚本を画面に出して、どうだとばかり彼の目の前に突き付けた。
「ヒーローのヒロくんです。今回はちょっと抽象的な脚本で、ヒロインの理想をこれでもかと詰め込んだイケメンということで、単純がすぎるくらいの名前になったんですけど、もちろん大真面目ですよ」
正直、相手にされなくても構わなかった。呆れられた結果無罪放免となるなら万々歳、くらいに思っていたのである。
しかし、彼は思いのほか丁寧に企画書を読み込んでいた。
「この『ヒロ』のイメージが俺に近いってこと?」
「近いというか、ドンピシャです」
だからつい、カメラを構えてしまったのだ。そして稽古場で「こういう感じのイケメンを用意できないか」と相談するつもりだった。
「理想といったって、あんた、俺のこと何も知らないだろ?」
「はい、だから完全にビジュアルの話をしています」
「ビジュアルね」
彼が苦笑する。そりゃ顔だけだと言われたら笑うしかないだろうけど、まんざらでもないように見えるのは私の気のせいだろうか。
「……そう、ドンピシャなんですよ」
「え?」
気付いた時には、私はその案を口走っていた。
「あなた、舞台に立ちませんか?」
