「断言はできないけど、きっとそうじゃないかな。特にアマチュア演劇なんて泥沼だし」
自嘲的な笑顔が、紛れもない真実を物語っていた。
「舞台に立つ快感は一度知ったらやみつきだ。ホントに中毒性が高い。でも実体というかその準備期間は、精神的にも肉体的にも金銭的にも負担が大きい三重苦。正直、片手間じゃやってられないんだよね」
全く以てその通りだった。趣味だろうが本業があろうが遊びじゃない、本気だ。
「だから逆に仕事が忙しくなったとか結婚したとか子供ができたとか、真っ当な道に戻るきっかけができた人間から辞めていくんだよ」
貴博さんが目を見開く。自分が泥沼に引きずり込まれたと宣告されたのだから、驚くのも無理はないだろう。
「何で、俺にそんなこと……?」
「ヒロくんは泥沼そのものだからね。演劇と小説でいくらか事情が違ったとしても、将来の展望がないまま創作活動にふけっている点でユメは俺たちと同類だ。そんな彼女を何の根拠もなく、何とかなるさと全肯定するのが君の役割」
「まるで悪い男みたいな言われようだな」
みたいというか、ヒロはまさに悪い男であり誘惑の塊であり都合のいい幻想として特に序盤では描かれている。だから貴博さんもこうして疑問をぶつけてきたのだろう。
そして私が答えづらいことを、先輩はすらすらと言葉にしてくれる。
自嘲的な笑顔が、紛れもない真実を物語っていた。
「舞台に立つ快感は一度知ったらやみつきだ。ホントに中毒性が高い。でも実体というかその準備期間は、精神的にも肉体的にも金銭的にも負担が大きい三重苦。正直、片手間じゃやってられないんだよね」
全く以てその通りだった。趣味だろうが本業があろうが遊びじゃない、本気だ。
「だから逆に仕事が忙しくなったとか結婚したとか子供ができたとか、真っ当な道に戻るきっかけができた人間から辞めていくんだよ」
貴博さんが目を見開く。自分が泥沼に引きずり込まれたと宣告されたのだから、驚くのも無理はないだろう。
「何で、俺にそんなこと……?」
「ヒロくんは泥沼そのものだからね。演劇と小説でいくらか事情が違ったとしても、将来の展望がないまま創作活動にふけっている点でユメは俺たちと同類だ。そんな彼女を何の根拠もなく、何とかなるさと全肯定するのが君の役割」
「まるで悪い男みたいな言われようだな」
みたいというか、ヒロはまさに悪い男であり誘惑の塊であり都合のいい幻想として特に序盤では描かれている。だから貴博さんもこうして疑問をぶつけてきたのだろう。
そして私が答えづらいことを、先輩はすらすらと言葉にしてくれる。
