もちろん私は演劇に没頭する自分も嫌いではないけれど、主人公の自己肯定感を下げた方がストーリーは豊かになるので「この年になっても自室に引きこもって小説ばかり書いている自分ってどうなの?」という自問自答を全面に出している。
「でもユメは小説家志望だろ。だったら書くことはもっと現実的な夢というか、目標につながっているものじゃないのか?」
「だからそれは……言ってるだけなの」
「え?」
貴博さんの問いに答えるのは、ヒロくんに真実を告げるようでちょっぴり胸が痛んだ。
「小説家志望だって主張すること自体ある種の現実逃避みたいなもので、引きこもって小説ばかり書いている自分を正当化しているの」
「じゃあ、実際のところ彼女は小説家志望ではないと?」
「いや、小説家志望ではあるよ。ただ、目標に向かって具体的に行動しているわけではないかな。書いても書いても『結末が決められない』んだから」
タイトルに引っ掛けて返すと、貴博さんはじっと黙り込んだ。
脚本解釈を深めるための議論なのは分かっているが、ここまで考え込まれると、自分の腹の内まで探られているようでどうにも居心地が悪い。
沈黙が少々長くなってきたところで、聞き役に回っていた勇也さんがおもむろに口を開いた。
「劇団カフェオレの由来、知ってる?」
「へ?」
先輩に誘われて入団した私も、正直あまり意識したことはない。
「でもユメは小説家志望だろ。だったら書くことはもっと現実的な夢というか、目標につながっているものじゃないのか?」
「だからそれは……言ってるだけなの」
「え?」
貴博さんの問いに答えるのは、ヒロくんに真実を告げるようでちょっぴり胸が痛んだ。
「小説家志望だって主張すること自体ある種の現実逃避みたいなもので、引きこもって小説ばかり書いている自分を正当化しているの」
「じゃあ、実際のところ彼女は小説家志望ではないと?」
「いや、小説家志望ではあるよ。ただ、目標に向かって具体的に行動しているわけではないかな。書いても書いても『結末が決められない』んだから」
タイトルに引っ掛けて返すと、貴博さんはじっと黙り込んだ。
脚本解釈を深めるための議論なのは分かっているが、ここまで考え込まれると、自分の腹の内まで探られているようでどうにも居心地が悪い。
沈黙が少々長くなってきたところで、聞き役に回っていた勇也さんがおもむろに口を開いた。
「劇団カフェオレの由来、知ってる?」
「へ?」
先輩に誘われて入団した私も、正直あまり意識したことはない。
