「やっと答えてくれたな」
「え?」
「俺のプロポーズ、何度受け流されたと思ってる?」
貴博さんが私を抱きかかえたままくるりと身を反転させ、二人でベッドの上に倒れ込んだ。その笑顔の背景に、白い天井が映る。
「深雪、一緒になろう」
仰向けになった私は、勢いよく首を縦に振っていた。
「はい!」
返事を待つまでもなく、彼は私に口づけた。その言葉とタイミングにしては控えめな触れるだけのキスにじらされ、すぐにこちらからも唇を重ねる。あとはもう、二人の欲望に向かって一直線に落ちていく。
たぶん今日、貴博さんには初めからそのつもりがあった。
篠目邸を抜け出してからこの部屋に向かったことに「たいして意味はない」と断言してしまうほど、エンゲージリングは些細なものだった。指輪はあくまで形であり、その先にある互いの気持ちを確かめるための演出に過ぎなかったということになる。
――と、彼が認識していたかどうかは分からないけれども、大粒のダイヤをあしらった指輪は抱き合うのにはちょっとだけ邪魔で、丁重に小箱に戻される。
そしてもう一度、仕切り直すように始まったキスは遠慮の欠片もない甘くて深いものだった。貴博さんの舌が私の口内を隅々まで犯していく。それだけで頭がしびれるほど幸せだった。
「え?」
「俺のプロポーズ、何度受け流されたと思ってる?」
貴博さんが私を抱きかかえたままくるりと身を反転させ、二人でベッドの上に倒れ込んだ。その笑顔の背景に、白い天井が映る。
「深雪、一緒になろう」
仰向けになった私は、勢いよく首を縦に振っていた。
「はい!」
返事を待つまでもなく、彼は私に口づけた。その言葉とタイミングにしては控えめな触れるだけのキスにじらされ、すぐにこちらからも唇を重ねる。あとはもう、二人の欲望に向かって一直線に落ちていく。
たぶん今日、貴博さんには初めからそのつもりがあった。
篠目邸を抜け出してからこの部屋に向かったことに「たいして意味はない」と断言してしまうほど、エンゲージリングは些細なものだった。指輪はあくまで形であり、その先にある互いの気持ちを確かめるための演出に過ぎなかったということになる。
――と、彼が認識していたかどうかは分からないけれども、大粒のダイヤをあしらった指輪は抱き合うのにはちょっとだけ邪魔で、丁重に小箱に戻される。
そしてもう一度、仕切り直すように始まったキスは遠慮の欠片もない甘くて深いものだった。貴博さんの舌が私の口内を隅々まで犯していく。それだけで頭がしびれるほど幸せだった。
