「じゃなくて。無理やり自分に付き合わせてしまったような感じがしたの。恋愛感情があってもそういうことに興味のない人だっているわけだし、もしかしたら本当はしたくないのに私のために……とか、考えちゃって」
段々と力を失っていく声を引き止めるように、彼は必死に反論する。
「違う! あの時はただ必死だったから、深雪を悦ばせることが絶対だったから、自分が楽しむ余裕がなかっただけというか」
「うん」
先程の告白を聞いて、それは理解した。
「確かに俺は、したいと思ったことがなかったかもしれない。でも本当に発想がなかったってだけで、したくないわけではないんだ。俺の言っていること、分かるか?」
私はコクリと頷いた。国語の勉強をちゃんとしてきて良かった。
貴博さんの手がゆっくりと背後に回される。
「それに俺、女としてとか脚本家としてとか、全然意識したことがないんだ。だって全部深雪なんだから」
「え?」
「自分が深雪のために何ができるか考えた時に、一番確実な答えがパトロンだったって、たぶんそれだけなんだ。今の話でいうと、その……男としての自分には本当に自信がなかったからさ」
その腕にギュッと力がこもる。彼の膝の上に座り込んだ状態で、私は力強く抱きしめられていた。
段々と力を失っていく声を引き止めるように、彼は必死に反論する。
「違う! あの時はただ必死だったから、深雪を悦ばせることが絶対だったから、自分が楽しむ余裕がなかっただけというか」
「うん」
先程の告白を聞いて、それは理解した。
「確かに俺は、したいと思ったことがなかったかもしれない。でも本当に発想がなかったってだけで、したくないわけではないんだ。俺の言っていること、分かるか?」
私はコクリと頷いた。国語の勉強をちゃんとしてきて良かった。
貴博さんの手がゆっくりと背後に回される。
「それに俺、女としてとか脚本家としてとか、全然意識したことがないんだ。だって全部深雪なんだから」
「え?」
「自分が深雪のために何ができるか考えた時に、一番確実な答えがパトロンだったって、たぶんそれだけなんだ。今の話でいうと、その……男としての自分には本当に自信がなかったからさ」
その腕にギュッと力がこもる。彼の膝の上に座り込んだ状態で、私は力強く抱きしめられていた。
