彼も私と同じなのだ。自信がなくて、強がって、それをごまかすために理屈をこね回している。そのくせ一度決めたら突っ走る傾向にあるからか、最後まで強気の姿勢を崩さない。傍目には余裕綽々にも見えてしまう。
……もしかして、時折考えなしの強硬手段を取る自分も同じような勘違いをされていたのだろうか。極端な卑屈も虚勢の裏返しのような側面がある。
「私だって別に経験豊富ってわけでもないし、現実もお芝居も手探りだし、だからちゃんと話してよ。そういう悩みとか不安も全部」
「でも――」
上目遣いで言い淀む貴博さんがあまりに愛おしく、私は彼を抱きしめていた。
その首元に腕を回し、ベッドの上で馬乗りになる勢いで抱き着いてしまったので、彼が驚いて目を見開いている。
「私があなたに一目惚れしたこと、知ってるでしょう? 貴博さんは何したって格好いいんだから、格好つける必要なんかない」
理屈をこねて断じると、貴博さんはしばしの間、呆気に取られたように口をパクパクさせていた。
「暴論だろ」
「だとしても、私にとっては真理だから」
狼狽える彼の気持ちも分かる。私も素直になるべきところで、どれだけ格好をつけて逃げてきたことか。
「実は私も怖かったの。貴博さんは私のこと、女としてより脚本家として見ている節があったから。それに抱けるかって聞いたら、抱けるって答えたでしょう?」
「……俺、できてなかった?」
……もしかして、時折考えなしの強硬手段を取る自分も同じような勘違いをされていたのだろうか。極端な卑屈も虚勢の裏返しのような側面がある。
「私だって別に経験豊富ってわけでもないし、現実もお芝居も手探りだし、だからちゃんと話してよ。そういう悩みとか不安も全部」
「でも――」
上目遣いで言い淀む貴博さんがあまりに愛おしく、私は彼を抱きしめていた。
その首元に腕を回し、ベッドの上で馬乗りになる勢いで抱き着いてしまったので、彼が驚いて目を見開いている。
「私があなたに一目惚れしたこと、知ってるでしょう? 貴博さんは何したって格好いいんだから、格好つける必要なんかない」
理屈をこねて断じると、貴博さんはしばしの間、呆気に取られたように口をパクパクさせていた。
「暴論だろ」
「だとしても、私にとっては真理だから」
狼狽える彼の気持ちも分かる。私も素直になるべきところで、どれだけ格好をつけて逃げてきたことか。
「実は私も怖かったの。貴博さんは私のこと、女としてより脚本家として見ている節があったから。それに抱けるかって聞いたら、抱けるって答えたでしょう?」
「……俺、できてなかった?」
