考えてみれば、出会った当初から彼は演劇に興味津々だったが……例えばテレビも日常的に見るのだろうか? 映画は? 小説や漫画は読むだろうか? こちらは演劇漬けの私生活が筒抜けなのに対し、彼のプライベートはほとんど知らないことに気付く。
「お見合いだったら最初に聞くやつなのに」
「え?」
「ご趣味は?」
貴博さんは小首を傾げた後、フッと微笑んだ。
「俺も結構俗っぽいエンターテインメントが好きなんだよ。映画も見るし小説も読むし、特にテレビは昔母親がいい顔しなかったせいで余計にのめり込めんだ」
「反抗期じゃん」
でも、意外と納得。
「確かに貴博さん、脚本の読解力とか半端なかったもんね。あれは物語に慣れ親しんでいる人だと思った」
「ご趣味は、なんて聞くまでもなかったってことだな」
そういうことなのだろうか。
階段を上がり、向かった先は寝室だった。彼が入った途端に明かりがつき、背景としてベッドが現れたことにドキリとした。
しかし貴博さん自身は、何も気にしていないように見える。
クローゼットを開いて中を探る。少し離れた部屋の入り口付近からシルエットを眺めても、上着のポケットか何かに右手を突っ込んでいることは容易に知れた。このタイミングで登場するだろうそのサイズ感のアイテムを想像したら、ちょっと笑ってしまう。
まさかね。
「お見合いだったら最初に聞くやつなのに」
「え?」
「ご趣味は?」
貴博さんは小首を傾げた後、フッと微笑んだ。
「俺も結構俗っぽいエンターテインメントが好きなんだよ。映画も見るし小説も読むし、特にテレビは昔母親がいい顔しなかったせいで余計にのめり込めんだ」
「反抗期じゃん」
でも、意外と納得。
「確かに貴博さん、脚本の読解力とか半端なかったもんね。あれは物語に慣れ親しんでいる人だと思った」
「ご趣味は、なんて聞くまでもなかったってことだな」
そういうことなのだろうか。
階段を上がり、向かった先は寝室だった。彼が入った途端に明かりがつき、背景としてベッドが現れたことにドキリとした。
しかし貴博さん自身は、何も気にしていないように見える。
クローゼットを開いて中を探る。少し離れた部屋の入り口付近からシルエットを眺めても、上着のポケットか何かに右手を突っ込んでいることは容易に知れた。このタイミングで登場するだろうそのサイズ感のアイテムを想像したら、ちょっと笑ってしまう。
まさかね。
