絶対に関係がバレてはいけない人といえば、既婚者と相場が決まっている。加えて梨園のお嬢様のお相手であれば、業界人の可能性も考えられる。もし人気俳優だったりしたらとんでもないスキャンダルだ……というのは下世話な想像に過ぎないけれど。
「彼に振られても次のお見合いの話が来ても、堕ろせなかったというのが麗さんの答えでしょう」
無責任なことは言えないけれど、彼女一人で悩む問題じゃないことは確かだ。
「どんな形にせよ、絶対にその男に責任を取らせるべきだと思います」
「けど――」
「なんなら、追及用のシナリオを書いてあげましょうか?」
理詰めで責めるなら得意分野だ。特に、言いたいことを事前に用意してまとめる作業ほど私の本領が発揮される場面も他にない。
「さすがにそこまで首突っ込むなよ」
そう思ったのだが、貴博さんにサッと止めに入られた。
「あとは彼女の問題なんだから」
彼の言葉は冷たいけれど、その点に関しては正しかった。私がとやかく言えることではないだろう。
麗さんはしばしその場に立ち尽くしていた。じっと考え込んでいる顔つきで中空を見つめ、ぽつりと結論を口にした。
「確かにあんな男より、この子の幸せの方が大事かもしれないわね」
「彼に振られても次のお見合いの話が来ても、堕ろせなかったというのが麗さんの答えでしょう」
無責任なことは言えないけれど、彼女一人で悩む問題じゃないことは確かだ。
「どんな形にせよ、絶対にその男に責任を取らせるべきだと思います」
「けど――」
「なんなら、追及用のシナリオを書いてあげましょうか?」
理詰めで責めるなら得意分野だ。特に、言いたいことを事前に用意してまとめる作業ほど私の本領が発揮される場面も他にない。
「さすがにそこまで首突っ込むなよ」
そう思ったのだが、貴博さんにサッと止めに入られた。
「あとは彼女の問題なんだから」
彼の言葉は冷たいけれど、その点に関しては正しかった。私がとやかく言えることではないだろう。
麗さんはしばしその場に立ち尽くしていた。じっと考え込んでいる顔つきで中空を見つめ、ぽつりと結論を口にした。
「確かにあんな男より、この子の幸せの方が大事かもしれないわね」
