「そんなこと言われても、信じられるわけないわよね?」
「いや、信じられないというか……」
彼の話が本当であっても、どうしてわざわざベッドまで付き合うことになったのか。
「この女の考えていることがさっぱり分からないんで、ちょっと気になったんだ。俺にはたいして興味がなさそうな割に、何としても結婚したいように見えたから」
指摘されると思い当たる節はある。彼女もこのお見合い結婚に何らかのメリットを求めているようだった。
「あんたの魂胆もだいたい分かったし、これ以上放っておくと貴晴が要らないちょっかい出しそうだから、この辺りでお引き取り願おうと思ったわけ」
その台詞に合わせて、彼は麗さんに向けて差し出した手をすっと出口の方へ動かした。
「俺も丸くなったと思うぜ? 半年前ならあんたが怒って俺に水ぶっかけて出ていくまで、止まらなかっただろうから」
「水?」
彼女が眉をひそめると同時に、私の脳内に出会いの光景がよみがえる。
「貴博さん、それ進歩なんですか? 余計に煽ってるように聞こえますけど」
「酒飲みながらニコニコ笑って相槌打ち続けるスキルが身に着いたのは、まず間違いなく深雪のおかげだろうな。今後の社長業の役に立ちそうだ」
「それはどうも」
今度は奈央子の隣でひたすらコクコク頷き続ける彼の姿を思い出す。
「いや、信じられないというか……」
彼の話が本当であっても、どうしてわざわざベッドまで付き合うことになったのか。
「この女の考えていることがさっぱり分からないんで、ちょっと気になったんだ。俺にはたいして興味がなさそうな割に、何としても結婚したいように見えたから」
指摘されると思い当たる節はある。彼女もこのお見合い結婚に何らかのメリットを求めているようだった。
「あんたの魂胆もだいたい分かったし、これ以上放っておくと貴晴が要らないちょっかい出しそうだから、この辺りでお引き取り願おうと思ったわけ」
その台詞に合わせて、彼は麗さんに向けて差し出した手をすっと出口の方へ動かした。
「俺も丸くなったと思うぜ? 半年前ならあんたが怒って俺に水ぶっかけて出ていくまで、止まらなかっただろうから」
「水?」
彼女が眉をひそめると同時に、私の脳内に出会いの光景がよみがえる。
「貴博さん、それ進歩なんですか? 余計に煽ってるように聞こえますけど」
「酒飲みながらニコニコ笑って相槌打ち続けるスキルが身に着いたのは、まず間違いなく深雪のおかげだろうな。今後の社長業の役に立ちそうだ」
「それはどうも」
今度は奈央子の隣でひたすらコクコク頷き続ける彼の姿を思い出す。
