試行錯誤の末、貴晴くんはどうやら声に出した方が記憶に残るようだと判明する。
授業中も黙り続けていると段々とそわそわし始めるので、適度に会話を交えるようにしようと二人で決めた。黙々と机に向かうだけが勉強ではない。
「いいの? 自分で言っといてなんだけど、俺、しゃべり出すと結構止まらないよ?」
「本当に黙ってほしい時はそう伝えるし、貴晴くんがどうしたいって提案をしてくれること自体、大事なことだと思う」
自分に合った勉強法が見つかると、彼は自習の際にも話し相手が欲しくなったらしい。授業で教わった内容を母親の前で繰り返すという、独自の復習方法を編み出していた。
――ということを、実は文乃さんの言葉をきっかけに知ったのである。
「貴晴が急に私の前で勉強の話を始めたの。下手に口を挟むとまた不機嫌になるから聞くしかできないんだけど、いいのかしら?」
「ぜひ黙って聞いておいてあげてください!」
おかげで私の文乃さん受けが良くなるという、嬉しい想定外まで起こっていた。
あとは結果を出すだけ。彼が模試を受ける日は、こちらまでドキドキして少々寝不足になっていた。
授業中も黙り続けていると段々とそわそわし始めるので、適度に会話を交えるようにしようと二人で決めた。黙々と机に向かうだけが勉強ではない。
「いいの? 自分で言っといてなんだけど、俺、しゃべり出すと結構止まらないよ?」
「本当に黙ってほしい時はそう伝えるし、貴晴くんがどうしたいって提案をしてくれること自体、大事なことだと思う」
自分に合った勉強法が見つかると、彼は自習の際にも話し相手が欲しくなったらしい。授業で教わった内容を母親の前で繰り返すという、独自の復習方法を編み出していた。
――ということを、実は文乃さんの言葉をきっかけに知ったのである。
「貴晴が急に私の前で勉強の話を始めたの。下手に口を挟むとまた不機嫌になるから聞くしかできないんだけど、いいのかしら?」
「ぜひ黙って聞いておいてあげてください!」
おかげで私の文乃さん受けが良くなるという、嬉しい想定外まで起こっていた。
あとは結果を出すだけ。彼が模試を受ける日は、こちらまでドキドキして少々寝不足になっていた。
