「そのつもりだったけど、俺は深雪のパトロンでもあるからさ。脚本家としての深雪を応援したいし、チャンスがあるなら俺のことなんか気にせず夢を掴んでほしい」
「で、でも……」
「俺は深雪になら利用されても構わない。というか俺たちの関係って、そういうものだったろう?」
そういうもの、だったのだろうか?
「その分面白いものを見せてくれたら、ちゃんとウィンウィンだからさ」
貴博さんはある意味、プロポーズの時以上に都合のいいことを話していた。
彼が私を思ってくれているのは分かる。だけど――。
「さっきから勝手なこと言ってるけど」
唐突に、麗さんが口を挟んだ。
「婚約解消だけじゃ、私に何の利益もないじゃない。それで口利きしろって虫が良すぎない?」
「そうか? 口利きだって百パーセントじゃないんだから、機会が得られるという点では同じだろ。俺が間に入ったから変に聞こえるだけで、深雪と藤宮さんの取引としては対等だと思うけど」
「なら、私はあなたにアプローチする権利くらいはもらえるわけよね?」
「は?」
どこまでも強かな麗さんに、貴博さんが眉根を寄せる。
それなのに、彼ははっきり「ノー」とは言わなかった。
「……違う」
私が望んだのは断じてこういうことではない。
「深雪?」
「で、でも……」
「俺は深雪になら利用されても構わない。というか俺たちの関係って、そういうものだったろう?」
そういうもの、だったのだろうか?
「その分面白いものを見せてくれたら、ちゃんとウィンウィンだからさ」
貴博さんはある意味、プロポーズの時以上に都合のいいことを話していた。
彼が私を思ってくれているのは分かる。だけど――。
「さっきから勝手なこと言ってるけど」
唐突に、麗さんが口を挟んだ。
「婚約解消だけじゃ、私に何の利益もないじゃない。それで口利きしろって虫が良すぎない?」
「そうか? 口利きだって百パーセントじゃないんだから、機会が得られるという点では同じだろ。俺が間に入ったから変に聞こえるだけで、深雪と藤宮さんの取引としては対等だと思うけど」
「なら、私はあなたにアプローチする権利くらいはもらえるわけよね?」
「は?」
どこまでも強かな麗さんに、貴博さんが眉根を寄せる。
それなのに、彼ははっきり「ノー」とは言わなかった。
「……違う」
私が望んだのは断じてこういうことではない。
「深雪?」
