スカウトしたはずのイケメン御曹司からプロポーズされました

「いきなり無茶振りするなよ」
「早速勇也さんはミノルくんですね」
「おい」
 現実の「実」から取ってミノル。貴博さんに体現してもらうのが理想なら、勇也さんに演じてもらうのは現実である。
「よろしければ奈央子とはどんどん絡んでもらいますので、よろしくお願いします」
 台詞を増やしていいのなら、序盤も黙って聞いているだけでなくヒロインを励ましたり慰めたり、思い切り甘やかしてあげたい。そこから最後は現実に立ち向かう彼女の背中を押してくれるのが、理想の男ではないだろうか。
「分かった。やってやろうじゃないか」
 この男、想像以上に肝が据わっている。