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勇也さんから次回公演のスケジュールを提案され、私は思わず待ったを掛けた。
『何で? 何かあった?』
たった一行のメッセージに、勇也さんの勇也さんたる所以が溢れていた。
優秀な舞台監督は脚本家が企画を提出する前から、仮でもスケジュールを押さえて適度に周囲を急き立ててくれる。というか、そうしないとメンバーそれぞれに本業があるアマチュア劇団の活動は続かない。
『またみんなのやりたいことリストでも作ろうか?』
次の一言も、既成脚本を探す発想がまるでないところが彼らしい。
話に聞く創設者の先輩が抜けてから、劇団カフェオレで脚本を書く人間は私だけだ。けれど誰しもやりたいことがあって入団しているわけで、過去には皆の希望をギュッと詰め込んだ舞台を立てたこともある。リクエスト企画は脚本家の腕が試される非常に面白い取り組みだが、今回はそういうことではない。
演劇を趣味で済ませることができなくなった現状を説明するため、私は当たり前のように勇也さんとのサシ飲みのアポを取っていた。が、直前になってはたと気付く。仮にも婚約者という存在ができた今、いくら舞台監督でも男相手に一対一はまずいのではないか。
「深雪さんも成長しましたね」
勇也さんから次回公演のスケジュールを提案され、私は思わず待ったを掛けた。
『何で? 何かあった?』
たった一行のメッセージに、勇也さんの勇也さんたる所以が溢れていた。
優秀な舞台監督は脚本家が企画を提出する前から、仮でもスケジュールを押さえて適度に周囲を急き立ててくれる。というか、そうしないとメンバーそれぞれに本業があるアマチュア劇団の活動は続かない。
『またみんなのやりたいことリストでも作ろうか?』
次の一言も、既成脚本を探す発想がまるでないところが彼らしい。
話に聞く創設者の先輩が抜けてから、劇団カフェオレで脚本を書く人間は私だけだ。けれど誰しもやりたいことがあって入団しているわけで、過去には皆の希望をギュッと詰め込んだ舞台を立てたこともある。リクエスト企画は脚本家の腕が試される非常に面白い取り組みだが、今回はそういうことではない。
演劇を趣味で済ませることができなくなった現状を説明するため、私は当たり前のように勇也さんとのサシ飲みのアポを取っていた。が、直前になってはたと気付く。仮にも婚約者という存在ができた今、いくら舞台監督でも男相手に一対一はまずいのではないか。
「深雪さんも成長しましたね」
