貴博さんはもう一度、力強く両親に訴えると席を立った。
「深雪、行こう」
「え?」
「言うべきことは言ったから」
ずっと逃げ出したい気持ちでいっぱいだった私は、促されるまま立ち上がっていた。
自分の主張を押し通すだけの貴博さんとその隣で縮こまるしかできなかった自分は、とてもじゃないが今日の目的は果たせていない。とはいえ、顔面蒼白になっている文乃さんにこれ以上何を言っても無駄だろう。
でも――。
「あの、また来ます。お二人にはちゃんと……認めてもらいたいので」
去り際にペコリと頭を下げると、妙に落ち着いた声が返ってきた。
「また来る気があるのか。君もなかなかいい根性しているね」
混沌とした状況の中で、貴一さんだけが愉快そうに笑っていた。
「深雪、行こう」
「え?」
「言うべきことは言ったから」
ずっと逃げ出したい気持ちでいっぱいだった私は、促されるまま立ち上がっていた。
自分の主張を押し通すだけの貴博さんとその隣で縮こまるしかできなかった自分は、とてもじゃないが今日の目的は果たせていない。とはいえ、顔面蒼白になっている文乃さんにこれ以上何を言っても無駄だろう。
でも――。
「あの、また来ます。お二人にはちゃんと……認めてもらいたいので」
去り際にペコリと頭を下げると、妙に落ち着いた声が返ってきた。
「また来る気があるのか。君もなかなかいい根性しているね」
混沌とした状況の中で、貴一さんだけが愉快そうに笑っていた。
