その後もバレー部の使っているネットや棒を出し、マットも全て出す。
中がスカスカになると、ホウキを持ってきて丁寧に掃く。
隅っこまで綺麗に掃いていると、「アスカって絶対A型だよね〜」とノノ先輩が笑った。
「わかりますか?」
私もそう言って笑い返す。
「ってことはミライくんもA型?」
ノノ先輩の言葉にこくりと頷く。
ミライはO型っぽいけど、一応A型。
ミツ先輩がチリトリでゴミを取ってくれる。
更に雑巾を取って濡らし、床を拭いた。
「やばっ、めっちゃ綺麗…!」
全開の窓を閉め、また用具をしまい直す。
「アスカ、お前今日の小テストどうだった?」
話しかけてきたのはハヤテ。
「よゆーだった」
正直に答える。
「はぁっ!?あれちょー難問だっただろ!?」
びっくりしている様子のハヤテに苦笑いを返した。
「あれ教科書読んでれば解けるやつだよ」
後ろからぽんっとハヤテの頭を叩くミライ。
「くっそ、この秀才双子め…!」
ちなみに私とミライは一卵性で、よく似ている。
顔は私が髪を切って、ミライが髪を伸ばせば見分けがつかない。
2人とも同じ青色の髪にエメラルドグリーン色の瞳。
身長は2人とも158センチ。
体つきはさすがに違うけど…。
頭も自慢みたいだけど2人とも良い。
けれど得意科目だけは違う。
ミライは理科と社会、家庭科、技術。
私は国語と英語、数学、美術。
体育は2人とも大得意!
全くバラバラだから、テスト期間は2人で教え合ったりしている。
「アスカ助けて〜!リュウに殺されるっ!」
「はい?」
見ると、サクがリュウに追いかけられている。
何したんだか…。
ふぅっと息を吐き、「何してんのー?鬼ごっこー?」と冗談まじりに叫ぶ。
「ちげぇよ!見りゃわかるだろ!」
「サクが悪いんだよ、俺の好きな人バラそうとするから」
サクに追いついたリュウがヘッドロックをかける。
「っ、痛い痛い!やめろリュウ…!」
「やめろって言われて俺が辞めると思う?たっぷり可愛がったげるよ」
ニヤニヤと笑いながらハヤテが哀れみの目を向ける。
「こら、お前ら遊ぶな!」
シュン先輩が呆れた様子で言う。
あはは…。
でも、リュウに好きな人がいるのは意外だなぁ…。
「えー!リュウくん好きな人いんのー!?!?」
女バス1番のお喋り、リンカ先輩が叫び、それに気づいた先輩方が振り向く。
「リュウ!?」
「ガチ!?」
それを聞きつけた男バスの先輩がどんどん広めていく。
「おいリュウ〜、誰なんだよ〜」
「先輩に教えろよ〜」
「絶っっっ対に言いません!!」
リュウの顔がみるみる赤く染まる。
「お、怪しいな〜」
キサト先輩が目を細めてリュウにしがみついた。
「吐くまで逃がさないぞリュウ…!」
「ちょっと、離れてください先輩!」
「嫌だね!」
ハオ先輩がリュウの肩に手をまわしていて、キサト先輩が腰に抱きついている。
「ちょっと、遊ばないで!」
ノノ先輩とウミ先輩、マユ先輩が呆れた様子でため息をついた。
「もう掃除終わったじゃん〜、遊ぼうよ〜」
「部活だよ!」
「も〜帰りた〜い」
「帰んな!!」
マユ先輩が目を3角にして怒っている。
「校庭行くよほら」
ミライがハヤテとサクの首根っこを掴んで引っ張って行く。
「キサトも行くよ!」
リンカ先輩がキサト先輩の耳を引っ張る。
あっ…。
リンカ先輩は身長が150弱しかないため、キサト先輩と同じくらい。
じーっと2人を見つめていると、リュウが声をかけてきた。
「ほら、アスカも行くぞ」
手を握られ、振り払えるわけもなくリュウと一緒に体育館を出た。