神殺しのクロノスタシスⅤ〜後編〜

…更に。

「おい、いい加減お前の出番だぞ」

「はぁ…。…分かりましたよ、やれば良いんでしょう?」

「あぁ、そうだ。やれ」

異空間に逃亡していたというルイーシュが、キュレムに首根っこ掴まれて戻ってきていた。

おぉ、やっと帰ってきたのかルイーシュ。

「こっちも手当り次第、ルイーシュに異空間を抉じ開けさせて探してくるよ」

と、キュレムが言った。

ルイーシュは逃げたかったんだろうが、正直今は、戻ってきてくれて有り難かった。

ルイーシュのような空間魔法のプロでもなければ、異空間を探しに行くなんて簡単には出来ないからな。

シュニィの居場所が全く掴めない以上、探す手は多い方が良い。

他の大隊長達にも、声をかけるべきだな。

「それから…隊員達を動揺させないように、シュニィちゃんの失踪の件については、大隊長クラスに留めて…一般の団員には知らせないようにしよう」

シルナがそう提案した。

…その方が良さそうだな。

アーリヤット皇国の皇王直属軍が、この件に関わっている可能性がある以上。

組織の混乱を招くのが、奴らの目的なんだろうし。

みすみす奴らの手管にハメられてたまるか。

「そして絶対、シュニィちゃんを見つけよう。…アトラス君も、それで良いね?」

ずっと黙っていたアトラスだったが。

「…あぁ、分かった」

シルナに同意を求められて初めて、アトラスは声を出して頷いた。

良かった。一応口は利けるんだな。

…声、氷点下の冷たさだったけど。