神殺しのクロノスタシスⅤ〜後編〜

「まるで、神隠しにでもあったかのようなんです」

「…神隠しか…」

それは恐ろしいな。

「ルイーシュみたいに…異空間に逃げた、とか?」

「断絶空間ならともかく、異空間に移動したくらいなら、『痕跡』は辿れます」

ごめん。俺エリュティアの探索魔法を見くびってたわ。

異空間に逃げるくらいじゃ、エリュティアの追跡は免れない。

つまり犯人は、異空間どころじゃない辺鄙な場所に、シュニィを連れて行ったってことだな。

それじゃあ、令月とすぐりでさえ見つけられないな。

さすがにあの二人も、異空間や断絶空間を探しに行くことは出来ない。

俺達でさえ無理なのに。

「そんな…。シュニィちゃん…一体何処に…」

「…」

一同、しばし無言。

怖いから、アトラスの方は見ないように努めた。

「…こうなったら、相手の出方を伺うしかないかもしれませんね」

そして、この中で一番度胸のある…と言うか。

万が一失言してアトラスにぶっ飛ばされても、不死身なので大丈夫と高を括っているらしいナジュが、そう言った。

相手の出方を伺う…。

「シュニィさんを人質に身代金を要求するなり、何らかの交換条件を提示するなり…何かしら動きはあるでしょう」

…そうだったら良いんだが。

金や交換条件ではなく、万が一、シュニィの命そのものが目的だったら…。

相手の出方を伺う、なんて悠長なことやってる暇はない。

一刻を争うのだ。大人しくなんてしていられない。

「…僕は引き続き、探索魔法でシュニィ隊長の居場所を探してみます」

と、エリュティアが言った。

そうだな。そうしてくれると助かる。

疲れてると思うが、もう少し踏ん張って欲しい。

…で、俺達は…。 

「…こうなったら、闇雲でも良いから、探せる場所は全部探すべきだな」

とにかく、じっとしている暇はない。

手当り次第、虱潰しに探していくしかない。

「そうだね…。やれるだけのことはやろう」

「俺はもう一度、目撃情報がないか聞き込みをしよう」

「無駄かもしれませんが、隊舎の近隣住民の心を読んで、何か知ってないか探ってきましょう」

シルナ、無闇、ナジュが順番に言った。

読心魔法で探すのは良いが、くれぐれも無理はするなよ。