かつて元の世界で、イーニシュフェルトの里があった場所には、今イーニシュフェルト魔導学院がある。
この世界でも同じで、里の跡地に学院が立っている。
その為、再建したという里の所在地は、本来の場所から少し離れていた。
が、多分その方が良いのだろう。
イーニシュフェルトの里は本来、余所者を嫌い、多種多様な魔法を研究するに当たって、秘匿性を何より重んじていた。
都会のど真ん中にあるより、山奥にひっそり存在する方が都合が良いのだ。色々とね。
その気遣いの結果なのだろう。
現在、再建された里は、王都セレーナから列車に乗り。
半日近くも揺られて、ようやく辿り着いた長閑な土地にあった。
長閑…と言えば聞こえは良いけど、要するに田舎だね。
そうしてやって来たのは、ルーデュニア聖王国の東方都市、トラーチェ。
私は知る由もなかったが、そこはかつて元の世界で、ベリクリーデちゃんが連れて行かれ、生き神様と祀られた場所。
桔梗谷という、小さな集落があった場所だった。
そこが、新しいイーニシュフェルトの里だった。
成程、山奥だし人気もないし、里を再建する場所としては最高だね。
普通の人なら気づかないだろうけど、早速、里の周囲を囲う山々に、結界が張り巡らせれている。
だけどその結界は、かつて本来のイーニシュフェルトの里で使われていたような、侵入者を阻む為の結界ではなく。
山の中に迷い込んだ者がいたら、すぐに場所が分かるように知らせる為の結界だった。
監視カメラみたいなものだ。入ってくる人がいたら、すぐに里の人々が感知出来るように。
…再建したばかりで、まだ人が少ないから…そこまで結界を強化する必要はない、ということだろうか?
何となく違和感を感じながら、私は里に入っていった。
私が足を踏み入れたことは、結界を通じて族長達も知っているはず。
山に入ってしばらく歩くと、そこに再建されたイーニシュフェルトの里があった。
「…ここが…」
私は思わず、立ち止まって里の景色を眺めてしまった。
…わざと、そのように作ったのだろうか?
この景色は、かつてのイーニシュフェルトの里をそのまま再現したようだった。
私の記憶にある…私の故郷と同じ。
でも、懐かしいとは思わなかった。
この場所を、素直に懐かしいと感じるほど…私の犯した罪は優しくなかった。
それなのに。
「聖賢者様、ようこそいらっしゃいました。お待ちしておりましたよ」
「…」
私が里に辿り着くなり、私を出迎えてくれたのは。
「…君、珠蓮君?」
「え?はい、そうですが…」
「…」
元の世界で、賢者の石の封印を守っていた、寿木珠蓮君だった。
何で珠蓮君が、この里に…と思ったけど。
彼の師匠であったイーサ・デルムトは、族長の旧友なんだっけ…。
その繋がりで、彼が里に居るのだろう。
この世界でも同じで、里の跡地に学院が立っている。
その為、再建したという里の所在地は、本来の場所から少し離れていた。
が、多分その方が良いのだろう。
イーニシュフェルトの里は本来、余所者を嫌い、多種多様な魔法を研究するに当たって、秘匿性を何より重んじていた。
都会のど真ん中にあるより、山奥にひっそり存在する方が都合が良いのだ。色々とね。
その気遣いの結果なのだろう。
現在、再建された里は、王都セレーナから列車に乗り。
半日近くも揺られて、ようやく辿り着いた長閑な土地にあった。
長閑…と言えば聞こえは良いけど、要するに田舎だね。
そうしてやって来たのは、ルーデュニア聖王国の東方都市、トラーチェ。
私は知る由もなかったが、そこはかつて元の世界で、ベリクリーデちゃんが連れて行かれ、生き神様と祀られた場所。
桔梗谷という、小さな集落があった場所だった。
そこが、新しいイーニシュフェルトの里だった。
成程、山奥だし人気もないし、里を再建する場所としては最高だね。
普通の人なら気づかないだろうけど、早速、里の周囲を囲う山々に、結界が張り巡らせれている。
だけどその結界は、かつて本来のイーニシュフェルトの里で使われていたような、侵入者を阻む為の結界ではなく。
山の中に迷い込んだ者がいたら、すぐに場所が分かるように知らせる為の結界だった。
監視カメラみたいなものだ。入ってくる人がいたら、すぐに里の人々が感知出来るように。
…再建したばかりで、まだ人が少ないから…そこまで結界を強化する必要はない、ということだろうか?
何となく違和感を感じながら、私は里に入っていった。
私が足を踏み入れたことは、結界を通じて族長達も知っているはず。
山に入ってしばらく歩くと、そこに再建されたイーニシュフェルトの里があった。
「…ここが…」
私は思わず、立ち止まって里の景色を眺めてしまった。
…わざと、そのように作ったのだろうか?
この景色は、かつてのイーニシュフェルトの里をそのまま再現したようだった。
私の記憶にある…私の故郷と同じ。
でも、懐かしいとは思わなかった。
この場所を、素直に懐かしいと感じるほど…私の犯した罪は優しくなかった。
それなのに。
「聖賢者様、ようこそいらっしゃいました。お待ちしておりましたよ」
「…」
私が里に辿り着くなり、私を出迎えてくれたのは。
「…君、珠蓮君?」
「え?はい、そうですが…」
「…」
元の世界で、賢者の石の封印を守っていた、寿木珠蓮君だった。
何で珠蓮君が、この里に…と思ったけど。
彼の師匠であったイーサ・デルムトは、族長の旧友なんだっけ…。
その繋がりで、彼が里に居るのだろう。


