神殺しのクロノスタシスⅤ〜後編〜

…よく分かったよ。この世界が何なのか。

まるで当て付けのようじゃないか。

あのとき、正しい選択をしていたらどうなっていたか。

私が諦めた正しい世界が、どんなに素晴らしい色をしているのか。

私に見せつけることで、元の世界の私がどれほど間違っていたかを見せつけてくる。

本当に…嫌味たっぷりの当て付けだ。

「…死者蘇生…。里の族長…か」

私は、ヴァルシーナちゃんの言葉を思い出した。

会いたがってるって言ってたね。族長が、私に。

どんな顔をして会えば良いのか分からないって、ずっと思ってた。

けど、そういえば元の世界でルディシア君がイーニシュフェルト魔導学院に来たとき。

彼、族長の死体を操って、私の前に現れたよね。

どんな顔も何も、あのとき既に会ってるんだし。

今更、躊躇う必要もないだろう。

それどころか、この世界はあくまで幻。幻覚だから。

本物じゃない。本物の族長は、とっくに学院の土の下で眠っている。

…それに、この世界の私が樹立したという、死者蘇生の魔法の効果が如何程のものか。

この目で確認したいという思いもあった。

会ってみようじゃないか。

幻だと分かっていても。

私がファイルを全部読み終える頃には、既に夜が明けていた。

私はヴァルシーナちゃんに断って、すぐに出発した。

私が再建した、新しいイーニシュフェルトの里に向かって。