ヴァルシーナちゃんが言っていたことを、もっと詳しく知ろうと思った。
私は自分の机の引き出しを探り、何か手がかりがないかと調べてみた。
すると、すぐに見つかった。
大量の研究資料が挟み込まれた、分厚い黒いファイルが。
元の世界では見覚えのない、その黒いファイルに。
この世界の私が研究したらしい、死者蘇生の魔法に関する資料が綴じられていた。
私は一晩かけて、そのファイルを読み漁った。
そこには、かつて禁忌とされた…クュルナちゃんが失敗し、私自身もあまりに危険ということで、手を出さなかった魔法が。
死人をあの世から呼び戻す死者蘇生の魔法が、どのようにして行われるのかについて、書き記されていた。
紛れもなくその字は、私のものだった。
否定しようがない。この世界では確かに、私がこの魔法について研究していたのだ。
「…死者蘇生の魔法…」
…出来なくはない、と思っていた。ずっと。
イーニシュフェルトの里が滅びてからずっと、何度も考えてきたことだ。
多分、やろうと思ったら出来なくはないだろうと…。
自信があった訳じゃないけど、挑戦してみる価値はあると。
…だけど、私は敢えてこの魔法には手を出さなかった。
当然この魔法が禁忌だから、というのも理由の一つだが。
単純に私は、クュルナちゃんが何としても親友を生き返らせようとしたように。
どうしても生き返って欲しいと思う相手がいなかった。
神殺しの魔法の生贄となり、滅びた里の誰かを蘇らせることなんて、考えもしなかった。
ましてや、族長を蘇らせるなんて。
元の世界の私は、彼らの犠牲を無駄にして邪神を守るという選択をしたのだ。
里の皆に合わせる顔なんて、あるはずがない。
私が死者蘇生の魔法に手を出すとしたら、それは二十音の身に何かあったときだろう。
だけど、今のところ、有り難いことにそのような事態には至っていない。
故に、私はこれまで、一度も死者蘇生の魔法に手を出したことはなかった。
これからも…そうであって欲しいと思っていたのだが。
どうやら、この世界では違ったようだね。
正しい選択をして、二十音ごと邪神を殺し。
私はルーデュニア聖王国を建国し、こうして学院を創立し…。
そして、イーニシュフェルトの里を再建させ。
更に…死者蘇生の魔法を研究し、死んだ族長を蘇らせた。
正しい選択をした世界の私は、こんなことをしていたんだ。
そりゃあ聖賢者だと呼ばれるだろうし、救世主だと持て囃されもする。
まるで、優等生の模範解答みたいな人生じゃないか。
それって、凄く空虚じゃないか?
その代わりに手にしたのは、「自分は正しい選択をしたのだ」という、自己満足にまみれた虚栄心のみ…。
…そんなものが欲しかったんじゃない。私は。
私が隣に求めたのは、ヴァルシーナちゃんでも、自己満足の正しさでもないのだ。
私は自分の机の引き出しを探り、何か手がかりがないかと調べてみた。
すると、すぐに見つかった。
大量の研究資料が挟み込まれた、分厚い黒いファイルが。
元の世界では見覚えのない、その黒いファイルに。
この世界の私が研究したらしい、死者蘇生の魔法に関する資料が綴じられていた。
私は一晩かけて、そのファイルを読み漁った。
そこには、かつて禁忌とされた…クュルナちゃんが失敗し、私自身もあまりに危険ということで、手を出さなかった魔法が。
死人をあの世から呼び戻す死者蘇生の魔法が、どのようにして行われるのかについて、書き記されていた。
紛れもなくその字は、私のものだった。
否定しようがない。この世界では確かに、私がこの魔法について研究していたのだ。
「…死者蘇生の魔法…」
…出来なくはない、と思っていた。ずっと。
イーニシュフェルトの里が滅びてからずっと、何度も考えてきたことだ。
多分、やろうと思ったら出来なくはないだろうと…。
自信があった訳じゃないけど、挑戦してみる価値はあると。
…だけど、私は敢えてこの魔法には手を出さなかった。
当然この魔法が禁忌だから、というのも理由の一つだが。
単純に私は、クュルナちゃんが何としても親友を生き返らせようとしたように。
どうしても生き返って欲しいと思う相手がいなかった。
神殺しの魔法の生贄となり、滅びた里の誰かを蘇らせることなんて、考えもしなかった。
ましてや、族長を蘇らせるなんて。
元の世界の私は、彼らの犠牲を無駄にして邪神を守るという選択をしたのだ。
里の皆に合わせる顔なんて、あるはずがない。
私が死者蘇生の魔法に手を出すとしたら、それは二十音の身に何かあったときだろう。
だけど、今のところ、有り難いことにそのような事態には至っていない。
故に、私はこれまで、一度も死者蘇生の魔法に手を出したことはなかった。
これからも…そうであって欲しいと思っていたのだが。
どうやら、この世界では違ったようだね。
正しい選択をして、二十音ごと邪神を殺し。
私はルーデュニア聖王国を建国し、こうして学院を創立し…。
そして、イーニシュフェルトの里を再建させ。
更に…死者蘇生の魔法を研究し、死んだ族長を蘇らせた。
正しい選択をした世界の私は、こんなことをしていたんだ。
そりゃあ聖賢者だと呼ばれるだろうし、救世主だと持て囃されもする。
まるで、優等生の模範解答みたいな人生じゃないか。
それって、凄く空虚じゃないか?
その代わりに手にしたのは、「自分は正しい選択をしたのだ」という、自己満足にまみれた虚栄心のみ…。
…そんなものが欲しかったんじゃない。私は。
私が隣に求めたのは、ヴァルシーナちゃんでも、自己満足の正しさでもないのだ。


