神殺しのクロノスタシスⅤ〜後編〜

キュレムとルイーシュの顔を見たら、次に会うべきなのは…。

俺は、通りすがりの聖魔騎士団魔導部隊の隊士に尋ね、次に会うべき二人の居場所を尋ねた。

何人かに尋ねて、俺の探している二人は、魔導隊舎の外にある花壇の付近で目撃されたという情報を入手し。

俺は早速、外の花壇に行ってみた。

すると、そこには。

「ジュリスー…。おかしいよ」

「…何がおかしいんだ?ベリクリーデ」

「ちゃんと種を植えたのに、全然芽が出てこないの」

花壇の傍に、探していた二人…ジュリスとベリクリーデ…がしゃがんで座っていた。

ベリクリーデの手には、小さなじょうろとスコップが握られていた。

…どうやら、ガーデニングの真っ最中だったようだ。

聖魔騎士団魔導部隊の大隊長が、真っ昼間からガーデニングを楽しむとは…。

さすが、この世界は随分平和なものだ。

…いや、元の世界でもこの二人は、毎日こんなことしてそうだが。

声をかけても良いのだが、もうしばらく様子を見守ってみることにする。

決して盗み聞きじゃないからな。

そんなつもりは全くないから。

ただ、この世界では二人がどんな様子か、確かめたいだけだ。

ジュリスとベリクリーデも、元の世界とは違っているのだろうか。

「苗じゃなくて、種から植えたのか?」

「うん。こんなちっちゃい豆粒みたいなの」

「そうか。一体何の種を植えたんだ?」

「柿の種」

「…そりゃ生えんだろ」

コントみたいなやり取りしてるな。

元の世界のジュリスとベリクリーデを見ているようだ。

「だって、部下の一人が『ベリクリーデ隊長、おやつに柿の種どうぞ』って小袋を一つくれて、食べたら美味しかったから」

と、ベリクリーデは釈明を始めた。

柿の種を土に植えた経緯を話していた。

「これを植えたら、きっともっとたくさん柿の種が出来るんだと思って」

「何でそう思ったんだ…?あれはただのお菓子だ」

美味しいよな。ピーナッツ入ってて。

シルナがよく、チョココーティングされたタイプの柿の種を買ってきてて…。

チョコを食ってんのか、柿の種を食ってんのか、よく分からなかったけど…。

…なんて、こんなこと今思い出しても仕方ないよな。

「全然芽が出ない。水が足りないのかな…?」

「何リットル水をやろうが、最高級の肥料を与えようが、絶対芽は出ないからな」

柿の種だからな。

多分今頃、土の中で腐ってなくなってると思う。