神殺しのクロノスタシスⅤ〜後編〜

エリュティアと無闇に会ったら、次は。

「お前もいい加減、ちょっとは動けっての」

「良いじゃないですか。たまにはゆっくりさせてくださいよ」

「たまにじゃなくて、お前はいつもゆっくりしてるだろ。急いでたことが人生で一回でもあるのか?」

「失礼な。ありますよ二回くらいは」

「少ねーんだよ。二回ごときで威張るな」

という、聞き慣れた声の応酬が聞こえてきた。

この声は…丁度探していた二人。

「キュレム、それにルイーシュ…いるのか?」

「んぁ?おぉ…羽久じゃん」

「羽久さんじゃないですか。暇そうですね」

お前に言われるは思ってなかったよ、ルイーシュ。

確かに今日は休日をもらったけど、でも暇ではないぞ。断じて。

「お前達…今日、任務は?」

二人共私服を着ているようだが、エリュティアや吐月達と違って、二人は任務じゃないのか。

「ない。休みなんだわ」

と、答えるキュレム。

あ、そうなんだ…。

「そう言う羽久は?なんか用事?」

「厄介事はやめてくださいね。動きたくないんで」

「…別に用事はないけど…。…ちょっと顔見に来ただけだよ」

厄介事かどうかは保証しない。残念ながら。

「任務はないって言ってたけど…。なんか揉めてたな。出掛けるところだったのか?」

余計な詮索をされる前に、こちらから質問をすることにした。

「あぁ。ちょっと買い出しにな」

「…買い出し?」

「今日、俺もルイーシュも休みだからさ。うちの家族がルイーシュの家族も招いて、皆でホームパーティーしようって話になったんだ」

元の世界のキュレムとルイーシュが聞いたら、びっくりして後ろに引っ繰り返りそうだな。

まさか、キュレムがこんなに嬉しそうに家族のことを話す日が来るとは。

本当にお前はキュレムなのかと、疑いたくなる。

更に、ルイーシュも。

「つい三ヶ月ほど前の祝日のときも、うちの家族が企画してホームパーティー開いたんですよ。キュレムさん一家を招いて。全く、どんだけホームパーティー好きなんでしょうね」

キュレムもルイーシュも、家族とはほぼ絶縁状態。

家族仲も、とても良好とは言えないと聞いている。

そんな二人の家族が、互いに互いの家族を招いてホームパーティーとは。

元の世界の彼らが聞いたら、俺以上に仰天していたに違いない。

…何もかも、全部逆さまになったみたいだ。