良いことなんだけどな。
良いことのはずなのに、素直に喜んであげられない自分がいる。
「普段から、次はいつ帰ってくるのかって、両親がうるさいんですよ」
「いくつになっても、親は自分の子が可愛いものだ。親孝行は出来るうちにしておけと言うしな。面倒がらずに、頻繁に顔を出してやると良い」
「無闇さんがそう言うから、時間が許せば帰るように心掛けてるんですけどね」
弟さんの面倒を見させる為に、無理矢理家に帰ってこさせようとしている訳じゃないってことは。
エリュティアの、この嬉しそうな顔を見れば分かる。
この世界のエリュティアの両親は、心からエリュティアを愛しているから。
エリュティアもまた、家族なことを愛しているから。
だからこそ、こんな風に家族のことを笑って話せるのだ。
…涙ぐましいじゃないか。なぁ?
「…無闇は?」
俺は、今度は無闇に尋ねた。
「?俺が何か?」
「お前も…『死火』を利用としようとする輩から、ずっと月読(つくよみ)のことを守ってきたんだよな?」
神殺しの魔法だと勝手に決めつけられ、『死火』を付け狙う輩から、月読を守ってきた。
一人でずっと、『死火』の守り人として孤独に旅を続けてきた。
それが、俺の記憶にある無闇の過去だ。
…しかし、この世界の無闇は。
「『死火』を…?確かに俺はずっと『死火』と契約しているが…」
と、無闇は怪訝そうな顔で答えた。
「別に、誰からも狙われたことはないぞ。『死火』は強力な魔導書だが、だからといって神殺しのような力はないからな」
「…」
狙われたことはない。『死火』を。
守り人としての役目を背負わされることもなく。
…元の世界の無闇と月読が聞いたら、何と言っただろうな。
随分物分かりの良い連中が多いもんだ、と言っていたかもな。
俺もそう思う。
「だが、それがどうかしたのか?」
「…いや…」
分かったよ。尋ねた俺の方が愚かだった。
でも。
「…ついでに、もう一つ聞いても良いか?」
「?何ですか?」
「何だ?」
俺は、一番聞きたかったことをエリュティアと無闇に尋ねた。
「二人共、シルナ・エインリーを覚えてるか?」
「…?知らないけど…誰?」
「聞いたことのない名前だな」
良いことのはずなのに、素直に喜んであげられない自分がいる。
「普段から、次はいつ帰ってくるのかって、両親がうるさいんですよ」
「いくつになっても、親は自分の子が可愛いものだ。親孝行は出来るうちにしておけと言うしな。面倒がらずに、頻繁に顔を出してやると良い」
「無闇さんがそう言うから、時間が許せば帰るように心掛けてるんですけどね」
弟さんの面倒を見させる為に、無理矢理家に帰ってこさせようとしている訳じゃないってことは。
エリュティアの、この嬉しそうな顔を見れば分かる。
この世界のエリュティアの両親は、心からエリュティアを愛しているから。
エリュティアもまた、家族なことを愛しているから。
だからこそ、こんな風に家族のことを笑って話せるのだ。
…涙ぐましいじゃないか。なぁ?
「…無闇は?」
俺は、今度は無闇に尋ねた。
「?俺が何か?」
「お前も…『死火』を利用としようとする輩から、ずっと月読(つくよみ)のことを守ってきたんだよな?」
神殺しの魔法だと勝手に決めつけられ、『死火』を付け狙う輩から、月読を守ってきた。
一人でずっと、『死火』の守り人として孤独に旅を続けてきた。
それが、俺の記憶にある無闇の過去だ。
…しかし、この世界の無闇は。
「『死火』を…?確かに俺はずっと『死火』と契約しているが…」
と、無闇は怪訝そうな顔で答えた。
「別に、誰からも狙われたことはないぞ。『死火』は強力な魔導書だが、だからといって神殺しのような力はないからな」
「…」
狙われたことはない。『死火』を。
守り人としての役目を背負わされることもなく。
…元の世界の無闇と月読が聞いたら、何と言っただろうな。
随分物分かりの良い連中が多いもんだ、と言っていたかもな。
俺もそう思う。
「だが、それがどうかしたのか?」
「…いや…」
分かったよ。尋ねた俺の方が愚かだった。
でも。
「…ついでに、もう一つ聞いても良いか?」
「?何ですか?」
「何だ?」
俺は、一番聞きたかったことをエリュティアと無闇に尋ねた。
「二人共、シルナ・エインリーを覚えてるか?」
「…?知らないけど…誰?」
「聞いたことのない名前だな」


