これが…雪刃。
吐月の身体を無理矢理乗っ取り、彼を脅して何千年も、少女の命を奪わせ続けた。
雪刃は確かに、俺とシルナが協力して吐月の身体から引き離したはずだった。
それなのに、何故まだここに…吐月の隣にいる?
しかも吐月は、雪刃の姿を見ても怯えていなかった。
長年に渡る脅迫のせいで、あれほど雪刃を怖がっていた吐月が。
それどころか、雪刃は。
「その…そろそろ時間ですから、出発した方が良いかと思って…」
本当の世界で、あれほど傲慢に吐月を従わせていた、あの生意気な態度は何処へやら。
おどおどと、吐月を気遣うかのようなしおらしい態度。
吐月に人殺しを強要させていた魔物とは、とても同一人物とは思えない。
「あぁ、そうだね…。そろそろ行こうか」
「…吐月、そいつは…」
「え?あぁ、雪刃のこと?」
やっぱり雪刃なんだな?
俺が知ってる、あの雪刃なんだよな?
「その…吐月、お前…まだ、雪刃と契約してるのか?」
「?そうだけど…。雪刃とは、俺がまだ子供だった頃から契約して…。それ以来、ずっと一緒に居るんだ」
と、吐月は教えてくれた。
「後に契約したベルフェゴールと違って、雪刃は引っ込み思案で大人しくて…。戦うときは凄く強いんだけどな」
吐月が説明すると、雪刃は恥ずかしそうに、吐月の背中に隠れていた。
何だお前。そのしおらしい態度は。
能面被っていて、見た目は凄く不気味なはずなのに。
何だか、えらく可愛らしく見えてきたぞ。
「外見がこんなだから、最初は皆怖がるんだけど…。中身は、凄く優しくて良い人なんだ」
「…」
…雪刃に脅されて、雪刃を庇って言っているんじゃないことは。
吐月の、この誇らしそうな顔を見たら分かる。
吐月は心から、雪刃の存在を誇らしく、頼もしく思っているのだ。
ベルフェゴールと同じく、自分の大切な相棒であると。
「幼い頃から、ずっと俺を守って、育ててくれて…。俺にとっては姉みたいな、母親みたいな存在なんだ」
「そ、そんな、吐月さん…。それは言い過ぎです…」
「言い過ぎじゃないよ。事実だから」
「…」
吐月に笑顔を向けられて、照れ臭くも嬉しそうな雪刃だった。
能面被ってるけど、嬉しそうにしてるのがよく分かる。
…何処からどう見ても、仲の良い召喚魔導師と契約召喚魔だ。
そうか…吐月もこの世界では、幸せなんだな。
元の世界で吐月を苦しめた、地獄のような過去は何処にもない。
「それじゃあ…任務の時間になるし、俺はそろそろ行くよ」
「…ちょっと待ってくれ、吐月。最後に一つだけ」
「?何?」
俺は、一番聞きたかったことを吐月に尋ねた。
「シルナ・エインリーを覚えてるか?」
「…?え、誰?」
吐月の身体を無理矢理乗っ取り、彼を脅して何千年も、少女の命を奪わせ続けた。
雪刃は確かに、俺とシルナが協力して吐月の身体から引き離したはずだった。
それなのに、何故まだここに…吐月の隣にいる?
しかも吐月は、雪刃の姿を見ても怯えていなかった。
長年に渡る脅迫のせいで、あれほど雪刃を怖がっていた吐月が。
それどころか、雪刃は。
「その…そろそろ時間ですから、出発した方が良いかと思って…」
本当の世界で、あれほど傲慢に吐月を従わせていた、あの生意気な態度は何処へやら。
おどおどと、吐月を気遣うかのようなしおらしい態度。
吐月に人殺しを強要させていた魔物とは、とても同一人物とは思えない。
「あぁ、そうだね…。そろそろ行こうか」
「…吐月、そいつは…」
「え?あぁ、雪刃のこと?」
やっぱり雪刃なんだな?
俺が知ってる、あの雪刃なんだよな?
「その…吐月、お前…まだ、雪刃と契約してるのか?」
「?そうだけど…。雪刃とは、俺がまだ子供だった頃から契約して…。それ以来、ずっと一緒に居るんだ」
と、吐月は教えてくれた。
「後に契約したベルフェゴールと違って、雪刃は引っ込み思案で大人しくて…。戦うときは凄く強いんだけどな」
吐月が説明すると、雪刃は恥ずかしそうに、吐月の背中に隠れていた。
何だお前。そのしおらしい態度は。
能面被っていて、見た目は凄く不気味なはずなのに。
何だか、えらく可愛らしく見えてきたぞ。
「外見がこんなだから、最初は皆怖がるんだけど…。中身は、凄く優しくて良い人なんだ」
「…」
…雪刃に脅されて、雪刃を庇って言っているんじゃないことは。
吐月の、この誇らしそうな顔を見たら分かる。
吐月は心から、雪刃の存在を誇らしく、頼もしく思っているのだ。
ベルフェゴールと同じく、自分の大切な相棒であると。
「幼い頃から、ずっと俺を守って、育ててくれて…。俺にとっては姉みたいな、母親みたいな存在なんだ」
「そ、そんな、吐月さん…。それは言い過ぎです…」
「言い過ぎじゃないよ。事実だから」
「…」
吐月に笑顔を向けられて、照れ臭くも嬉しそうな雪刃だった。
能面被ってるけど、嬉しそうにしてるのがよく分かる。
…何処からどう見ても、仲の良い召喚魔導師と契約召喚魔だ。
そうか…吐月もこの世界では、幸せなんだな。
元の世界で吐月を苦しめた、地獄のような過去は何処にもない。
「それじゃあ…任務の時間になるし、俺はそろそろ行くよ」
「…ちょっと待ってくれ、吐月。最後に一つだけ」
「?何?」
俺は、一番聞きたかったことを吐月に尋ねた。
「シルナ・エインリーを覚えてるか?」
「…?え、誰?」


