神殺しのクロノスタシスⅤ〜後編〜

まさか…ツキナまで。

「イーニシュフェルト魔導学院の学院長だよ…!シルナだろ?シルナ・エインリー。毎日学院長でチョコ配ってたおっさんがいるだろ…!?」

「へ?へ?何ですか…?チョコ…?何で学院長がチョコを配るんですか?」

そういう心に来る正論はやめてくれ。

そりゃまぁ、常識で考えたらチョコを配る学院長なんているはずがないんだけど。

それが、イーニシュフェルト魔導学院の学院長だったじゃないか。

「私が学院に入学したときから、学院長先生はずっと、今のシュニィ学院長でしたよ?」

「…!」

「入学してすぐ、私が『園芸部を作りたいです!』ってお願いしたら、快く校庭の一部を畑にしてくれたんです」

嘘だろ。

それをしてくれたのは、シュニィじゃなくてシルナのはずだろ?

「どうしたんですか?グラスフィア先生…突然変なこと聞いて」

「それは…いや…」

「何だか、頭が混乱してるんですか?」

…混乱、してるよ。

あまりに訳が分からなくて。

通りすがりのイチ生徒に聞けば、本当のことを話してくれると思ったのに。

「そういうときは、身体を動かすのが一番ですよ!これから一緒に、野菜を植えませんか?」

目を輝かせて、ツキナが誘った。

…申し出は嬉しいんだけど。

とてもじゃないけど、野菜なんか植えてる場合じゃ…。

…あ、そうだ。でも。

「ツキナ、今日、令月とすぐりは…」

「ふぇ?隊員その1とその2がどうかしたんですか?」

そう、その隊員達だよ。

「あの二人、今日園芸部に来てるか?」

「?いますよ。今頃二人で、えっさほいさーって畑を耕してくれてるはずです」

よし、それだ。

令月とすぐりの二人に会って、シルナのことを聞いてみよう。

あの二人なら、決闘のことだって知ってるはずだ。

「連れてってくれ。俺を、園芸部の畑に」

「一緒にコールラビを植えてくれるんですかっ?」

「…」

そういう訳じゃないけど、でもそういうことにしておこう。