神殺しのクロノスタシスⅤ〜後編〜

皆して、俺を謀っているんじゃないかと思った。

しかし、この場にいる三人は、揃って不思議そうに首を傾げていて。

とてもじゃないが、冗談を言って俺を困らせようとしているようには見えなかった。

つまり、本気なのだ。

本気で、シュニィがイーニシュフェルト魔導学院の学院長だと思ってる。

「ど、どういうことだよ?いつから…!?」

もしかして、臨時の学院長ってことか?

「本来の」学院長が留守にしている間、代理としてシュニィが学院長の代わりを務めてくれているという…。

「いつからって…ずっと昔からですよ。私が学院を卒業してすぐ、学院長に就任したんじゃないですか」

と、シュニィが答えた。
 
…!?

「ラミッドフルス魔導学院に勤めていた私を、イーニシュフェルト魔導学院に引き抜きしたのもあなたでしたね」

更に、イレースがシュニィに向かってそう言った。

イレースが、イーニシュフェルト魔導学院に引き抜きされた?

そんなはずがない。

そりゃあイレースは昔、ラミッドフルス魔導学院で鬼教官と呼ばれていた。

その後、今こうして彼女がイーニシュフェルト魔導学院に来たのは、シュニィの引き抜きではなく…。

「えぇ。ラミッドフルス魔導学院に、とても優秀な教師がいらっしゃると聞いて…。是非、力を貸して欲しいと思ったんです。私一人では、頼りない学院長でしたから…」

と、シュニィは照れ臭そうに答えた。

ちょっと良い話みたいになってるけど、それ事実と反してないか?

「その後だったよね。僕を学院の養護教員にスカウトしてくれたのは」

天音まで、シュニィに向かってそう言った。

「はい。あれは本当に偶然でしたね」

天音がイーニシュフェルト魔導学院に来た経緯は…正直、あまり思い出したいものではない。

だってあのとき天音は、今みたいに穏やかじゃなくて…。

大切な人をたくさん殺されて、復讐に燃えていたから…。

…しかし。

「旅の途中で、偶然学院の近くを通り掛かったら、生徒の一人が怪我をしていて…成り行きで治療したら、いきなり学院で保健室の先生になりませんか、って誘われたんだもん。あれはびっくりしたよ」

…は?

…俺もびっくりしたんだけど?

何それ?そんなことあったか?

「あれは…強引な真似をして、申し訳なかったです」

シュニィは苦笑いで答えた。

「ですが、あなたの回復魔法の腕を見て、逃す手はないと思ったもので」

「良いんだよ。お陰でイーニシュフェルト魔導学院に来て、たくさんの生徒に知り合って…。親友にも出会うことが出来たんだから」

と、天音は微笑んだ。

な、なんか…色々と、俺の記憶と違っているのだが。

これは、一体どういうことだ…?