神殺しのクロノスタシスⅤ〜後編〜

…。





…突然、目の前が真っ白になったと思ったら。



「羽久さん、羽久さん大丈夫?起きて」

「う…ん…?」

誰かに肩を揺り起こされて、俺は目を覚ました。

目元を拭って、ぼんやりとした意識を少しずつ覚醒させる。

「こんなところで寝てるのがバレたら、イレースさんに怒られるよ」

そう言って、俺に微笑みかけた人物は。

「…天音…?」

「え?うん…僕だけど」

イーニシュフェルト魔導学院の教師仲間、天音であった。

…何で天音?

って言うか、俺…何してたんだっけ…?

何だか、凄く重要なことをしていたような気がするのに…。

頭の中にモヤがかかったように、肝心なことを何も思い出せない。

「どうしたの?様子がおかしいけど…何かあった?」

天音が、心配そうな顔で尋ねた。

あ、いや…。

俺は身を起こして、ぐるりと周囲を見渡した。

いつもの見慣れた、イーニシュフェルト魔導学院の学院長室…のはずなのだが。

…何かが違うような…。

部屋の間取りは一緒なのに、置いてある家具が違う。

本棚に入ってる本も、やけに整理整頓されてきっちり並べられている。

いつもはもっと雑多に並べてるのに…。

さてはイレースに叱られて、整理整頓したのだろうか。

そんなことしても、また一週間くらいでもとに戻るのが常なんだが…。

…それよりも。

「…天音、俺何してたっけ…?」

「え?何してたって…」

さっきまで…学院長室じゃない、別の場所にいたような…気がするのだが。

俺、いつの間に帰ってきたんだっけ?

「別に…いつも通り、午前中は授業をしてたよ?昼休みも普通に食堂にいたし…」

「…」

「学院長先生に書類を届けようと思ってここに来たら、羽久さんが突っ伏して寝てたから…どうしたのかと思って起こしたんだ」

…そうなの?

俺、学院長室で昼寝してた訳?

何やってんだ…。

「本当に大丈夫?体調…何処か悪いの?」

「え?いや…。…全然、ピンピンしてるけど…」

ただちょっと…頭の中がぼんやりするような…。

どうしたんだろう、一体。

昼寝のし過ぎだろうか。

すると、そこに。

「…あら?お二人様共、どうされたんですか?」

「えっ?」

学院長室の扉が開いて、中に入ってきたのは。

なんと、シュニィであった。