神殺しのクロノスタシスⅤ〜後編〜

三回戦の相手は、恐らくナツキ様の一番の忠臣。

ハクロとコクロ、髪の色が違う双子の女性。

対するは、俺とシルナの二人…。

正直負ける気がしないが、問題は、敵二人の能力が全く分からないことだな。

一回戦のバニシンと違って、見るからにガタイが良いって訳じゃないし…。

多分、何かしら魔法を使ってくるんだろうな。

俺もシルナと共に長く生きてきて、それなりに様々な魔法に出会ってきたつもりでいるが…。

まぁ、それでも最近になって、読心魔法に出会ったり洗脳魔法に出会ったり。

人間とケルベロスのキメラに出会ったりしたもんな。

まだまだ世界は広い。

つまり、これから初見の魔法に出会う可能性もまだ残っている訳だ。

果たしてどうなるかな。

とりあえず、さっきのマシュリみたいに、ホイッスルが鳴るなり開幕不意打ちが飛んでくることはなかった。

一応警戒していたんだが。やっぱりジュリスの言った通り、二度は通用しない手だな。

「…どうする?シルナ」

こっちから仕掛けるか?

わざわざ奴らの策に嵌まってやる必要もないだろ。

「そうだね…。長く付き合いたくないから、すぐにでも終わらせたいけど…」

…そうは行かないみたいだな。

何故なら、ハクロとコクロの二人が、それぞれ片手に光る杖を持っているからである。

まるで鏡合わせのように、二人は右手と左手に杖を持ち。
 
「sypnosih」

「nllusioi」

同時に二人が、そう呟いたとき。

目の前が、突然真っ白になった。




「…!羽久…!?」



シルナが俺を呼ぶ声が、水の中のように遠くに聞こえていた。