相変わらず、ルールを好き勝手に決めやがる。

今度は、二対二の勝負だと…?

一体何を企んでいるのやら…。

わざわざ二対二の勝負を提案し、ハクロとコクロ、どう見ても連携の取れそうな双子を選んでくるのだから。

恐らくあの二人は、二人で戦うときにこそ真価を発揮するタイプなんだろうな。

令月とすぐりのようなものだ。

それぞれ一人のときに相手をするなら、まだ勝ち目があるが。

二人が合わさると、最早手出しのしようがないタイプ。

一人のときでさえ、令月ともすぐりとも、まともに戦いたくないけどな。

ましてや、この二人がタッグでかかってきたら、もう戦うのやめて諦めるレベル。

キュレムとルイーシュもそうだな。

個々人と一対一で戦うならともかく、二人揃ったら勝てる見込みが全くない。

このハクロとコクロも、似たようなタイプなんじゃないだろうか。

で、対するルーデュニア聖王国側の代表は、誰と誰を指名するつもりだ?

連携の取れなそうな二人を選んで、共倒れを狙う腹積もりだろう。

シルナやジュリスなら、誰と組んでも上手く合わせてくれそうなんだが…。

「僕と『八千歳』を選んでくれたら、絶対負けないんだけどね」

と、令月が呟いた。

全くだよ。

とはいえ、お前達は代表団ですらないから、候補にも挙がらないんだがな。

「キュレムとルイーシュを選んでくれ、頼む…!」

俺は小声で、必死にそう祈った。

しかし、当のキュレムとルイーシュは。

「えっ…。俺は嫌なんですけど…」

「自分も嫌だね。三回戦の代表とか、プレッシャーヤバ過ぎてミンチになるわ」

おい。そこは嘘でも、もうちょっと勇ましい言葉を聞きたかったよ。

そういうところも、いかにもキュレムとルイーシュらしいけども。

そりゃ確かに、この緊迫した三回戦の代表になるのは、とんでもなく責任が重、

「シルナ・エインリー。それから羽久・グラスフィア。お前達二人を指名する」

「…え?」

ナツキ様が指名したのは、俺とシルナだった。

自分の名前が出てきて、一瞬びっくりしたが…。

しかも、ここぞという決闘の三回戦で。

キュレムじゃないけど、責任重大過ぎて吐きそう…になるところだったが。

それ以上に俺はびっくりして、思わずシルナと顔を見合わせてしまった。

…俺とシルナを呼んだよな?今。

ナツキ様…あんた、いつからそんな…話の分かる男になったんだ?